Bachman Turner Overdrive
You Ain’t Seen Nothing Yet (1973)
「アメリカン・ウーマン」のヒットで知られるカナダのバンド、ゲス・フーを脱退したギタリスト、ランディ・バックマンが中心になって結成したバンドが、このバックマン・ターナー・オーヴァー・ドライヴだ。
このバンドも成功し、3rdアルバム『驚異のロックン・ロール・マシーン ノット・フラジャイル』が全米1位、シングルカットされたこの「恋のめまい」も全米1位、全英2位と世界的なヒットとなった。
カントリー・ロックとハード・ロックを融合させたような爽快なサウンドは聴いていて気持ちがいい。まさにドライヴにぴったりだ。
彼らは70年代に3千万枚ものアルバムを売った超ビッグ・バンドだけれど、それでも現代の若者たちはほとんど知らないにちがいない。
若い世代がバックマン・ターナー・オーヴァー・ドライヴの名前やその音楽を知る機会は滅多にないだろう。どこから遡ったとしても彼らに行き当たることはほとんど無いに等しい。
でも彼らの音楽に熱狂したり、少しのあいだ好きになったりした人々がいて、そういう青春があったことは、それもまたかけがえのない歴史上の瞬間にちがいない。そういう瞬間が記憶から消えないことはなんとなく、良い人生であるようにわたしは思う。
そして最新流行の音楽とは似ても似つかなくても、レコードやCDはこの世に残り、サブスクならいつでもクリックするだけで聴ける。またいつか誰かがなにかのきっかけで聴き、中には気に入る人もいるとしたら、それはもう、音楽と人との幸福な関係が築かれている、良い世界であるように思えるのだ。
(Goro)