The Zombies
She’s Not There (1964)
ゾンビーズを最初に知ったとき、まず名前が凄いと思った。
ジョージ・A・ロメロ監督の映画『ゾンビ』が公開されたのが1978年なので、それより14年も前にこの名前でデビューしていたということに驚いたものだ。しかもイギリスで。しかもゾンビメイクをするでもなく、そんな名前なのに何事もなかったような感じで演奏している。
この「シーズ・ノット・ゼア」はそんなゾンビーズのデビュー・シングルで、1964年7月にデッカからリリースされた。
バンドの中心人物であったキーボードのロッド・アージェントの作だ。イギリスでは12位というまあまあの出足であったが、なぜかアメリカでは全米2位といういきなりの大ヒットをぶちかました。
フックのあるメロディとポップ・センスが素晴らしい、完成度の高いデビュー・シングルだ。歌の入りがなんだかニルヴァーナを思わせる、カッコいい曲だ。
この曲もそうだけれども、ゾンビーズにはなにか妙に艶かしい、色気みたいなものが濃厚に漂う楽曲がある。コリン・ブランストーンの声のせいももちろんあるけれども、メロディやアレンジからもなにやら妖しげな色気を発している気がする。
デビューから4年ほどで喧嘩別れの末に解散してしまったのでヒット曲も少なく、ブリティッシュ・ビート・バンドの中では7番バッターぐらいの感じだったけど、独特の不思議な魅力を放つバンドだった。
(Goro)