1991年のロック【名盤ベストテン】 My 10 favorite 1991 greatest albums

2025/12/21

日本ではバブル景気がはじけ、経済的には最悪の時代の幕開けとなった1991年、英米のロック・シーンは連鎖的な化学反応によって大規模な爆発が連続して起きたかのようだった。

アメリカではグランジを中心としたオルタナティヴ・ロックが、イギリスはシューゲイザーやマッドチェスターなどのインディ・シーンが盛り上がり、ロックの新時代を告げる名盤が続出した。

というのは当時青春真っただ中で、初めて体験するロック・ムーヴメントの到来にナチュラルハイで生きていたわたしの思い入れがありすぎなのかもしれないのだけれど、でもたぶん、同じ時代を楽しんだロック好きなら、あの夢のような1991年が特別な年だったということをわかってくれるはずだ。

ここでは、そんな「91年モノ」の名盤群をあらためて聴き直し、今聴いてもやっぱりいいなと思えるアルバムを、ランキングにしてみた。

以下は、わたしが愛する1991年のロック名盤ベストテンです。

第10位　ジーザス・ジョーンズ『ダウト』
Jesus Jones／Doubt

今聴いたら全然ダメかもなあと思いながら聴いてみたら、いやいやどうして、素晴らしいアルバムだ。今聴いても斬新に聴こえる。曲が良いうえにオリジナリティ溢れるスタイルとなると、これは強い。ちょっとあらためて惚れ直してしまった。

第9位　ティーンエイジ・ファンクラブ『バンドワゴネスク』
Teenage Fanclub／Bandwagonesque

90年代に復活した〈パワー・ポップ〉の代表格。ザ・バーズやニール・ヤングのような豊かなメロディを持った曲を書き、ラウドなギターを存分に鳴らしながらも、カッコつけない肩の力の抜けたスタイルが魅力だった。「ザ・コンセプト」「スター・サイン」など、今聴いてもやっぱり良い曲だ。

第8位　スマッシング・パンプキンズ『ギッシュ』
The Smashing Pumpkins／Gish

スマパンの衝撃のデビュー作。まだこの1stでは後のような音楽性の幅広さはないものの、あのスマパン・グルーヴはすでに完成させており、当時の新人バンドとしては、技術的には圧倒的なデビュー・アルバムだった。「90年代のレッド・ツェッペリン！」なんて興奮していたものだった。

第7位　R.E.M.『アウト・オブ・タイム』
R.E.M./Out Of Time

当時から流行に左右されず、自分たちの音楽を貫いていたR.E.M.が世界的なブレイクを果たしたメジャー2作目。R.E.M.の中では最も明るく、バラエティに富んだ楽曲が充実し、エンターテインメント色も濃い印象のアルバムだ。B-52’sのヴォーカリスト、ケイト・ピアソンが3曲で参加している。

第6位　プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』
Primal Scream／Screamadelica

プライマル・スクリームがブレイクを果たした3rdアルバム。当時流行のハウス・ミュージックを取り入れた「ローデッド」「カム・トゥゲザー」などの楽曲と、ローリング・ストーンズの黄金期を支えたプロデューサー、ジミー・ミラーの協力を得て、米国南部テイストで作られた「ムーヴィン・オン・アップ」や「ダメージド」という、全然系統の違うものを並べて生まれた化学反応のようなオリジナリティがこのアルバムの魅力だ。

第5位　ダイナソーJr『グリーン・マインド』
Dinosaur Jr／Green Mind

ダイナソーJrの通算4作目となった本作は、メジャー・レーベルに移籍して初のアルバム。代表曲となった「ザ・ワゴン」の疾走感や、J・マスシスのギターの爆発具合はやっぱり素晴らしいし、「サム」のようなちょっとニール・ヤング風味のスロー・テンポの曲も良い。録音が上手くいかなかったそうで、少し薄味のサウンドになってしまったが、楽曲の良さとジャケットのカッコ良さは全キャリアでも随一の作品だ。

第4位　マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン『ラヴレス』
My Bloody Valentine ／Loveless

30年以上も経つとインパクトは薄れてしまうだろうが、1991年当時は、まさに衝撃作だった。耳を聾するノイズの洪水と、その向こうから聴こえてくる歌声は、体験したことのない美しさと感動をもたらした。シューゲイザーの金字塔であり、これもまた1991年を象徴する音だった。

第3位　レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』
Red Hot Chili Peppers／Blood Sugar Sex Magik

ロックに、ファンクやヒップ・ホップを融合させ、90年代式ミクスチャー・ロックの先駆となった傑作。ワーナーに移籍し、鬼才プロデューサー、リック・ルービンを迎えて制作された通算5作目で、全米3位の大ヒットとなり、レッチリの大ブレイク作となった。ベースが強い、キレの良いサウンドが素晴らしく、最強グルーヴの「ギヴ・イット・アウェイ」から胸に刺さるバラードの「アンダー・ザ・ブリッジ」まで、楽曲の幅も広い。

第2位　U2『アクトン・ベイビー』
U2／Achtung Baby

前作『ヨシュア・トゥリー』からガラリとイメージを変えてみせた、U2の6作目。全米1位、全英1位の世界的ヒットとなり、「ザ・フライ」「ワン」「ミステリアス・ウェイズ」など5曲がシングル・カットされ、いずれも大ヒットした。全体にはポップな印象ながら、当時の英インディ・シーンや米オルタナティヴ・ロックといった流行のサウンドを早くも飲み込んで昇華してみせた、格の違いを見せつけた傑作だった。