⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
“La Bamba”
監督:ルイス・ヴァルデス
主演:ルー・ダイアモンド・フィリップス
音楽:カルロス・サンタナ、ロス・ロボス
ロックンロール草創期、1958年にデビューして人気を博したアーティスト、リッチー・ヴァレンスの生涯を描いた作品だ。
監督の名前はまったく聞いたこともないし、これ以外の作品も知らないが、素晴らしく良く出来ているし、なにより音楽とアーティストに対するリスペクトが伝わってくるのがいい。
アーティストの伝記映画では、主人公はもちろん、同時代に活躍したアーティストたちを誰がどう演じるかというのにも興味を惹かれるものだ。
似てるに越したことはないのだけれど、このリッチー・ヴァレンスは見た目はまったく似ていない。でもなにも問題ない。そもそも本物のリッチー・ヴァレンスの顔なんて知ってる人の方が少ないだろう。
また、エディ・コクランや、バディ・ホリー、ジャッキー・ウィルソンなど、明らかに物語の本筋とは関係ないのに、そのパフォーマンスがたっぷりと丁寧に描かれているのも嬉しい。
特にブライアン・セッツァーのコクラン役は、見た目もまあまあ雰囲気があるし、コクランを愛してやまないことがよく知られているセッツァーに演じさせるという、坂本龍馬役を武田鉄矢にやらせるような、これ以上はないという配役だ。似ているかどうかというより、情熱と喜びが溢れ出すような演技が見ていて嬉しいものだ。
高校生のリッチー・ヴァレンスがとんとん拍子にロックスターになっていくサクセス・ストーリーと、その実兄ボブの、なにをやってもうまくいかないやさぐれた生活が、光と影のように対比される。この兄ボブの物語がこの映画の魅力をさらに深めている。
リッチーがアーティストとして成功への階段を駆け上がる様もしっかり描きながら、その裏の現実もしっかり描かれている、アーティストの伝記映画としてこれ以上はないほどのお手本と言える傑作だ。そして、何度見ても泣ける。
リッチーの歌と演奏はロス・ロボスが吹き替えで担当している。
リッチー・ヴァレンスと同じメキシコ系アメリカ人として、完璧にリッチーの音楽を再現(若しくはそれ以上に)している。
(Goro)