Wire
“Pink Flag” (1977)
ワイアーは英ロンドン出身の4人組のバンドだ。本作が彼らの1stアルバムである。
LP1枚に21曲が収録され、トータル収録時間はわずか35分。1分に満たない曲も6曲ある。
それを先に知ってしまうと、ハードコア・パンクのような猛スピードの曲か、曲とも言えないような断片的なものを想像してしまうが、そのどちらでもないのである。
スピードが速い曲は実はそれほど多くないし、1分に満たないほど短くてもちゃんと完成された曲になっている。しかも、これだけたくさん曲がありながら、同じような物ばかりでなく、ちゃんと書き分けている。実験的とは言えるけれども、決してプログレッシヴなものではない。どこまでも生々しい、リアリティのある音楽だ。
曲が短いのは、実はまだ楽器が巧く弾けなかったという事情もあるらしいけれども、むしろ無駄なものを省いた潔さが快いほどだ。
そして、パンクという熱くて激しいイメージとは真逆な、クールな印象がまたカッコいい。ヴォーカルはどこか醒めている感じだし、ギターの音は極めてノイジーに歪みながらも弾き散らかす感じではないので、うるさく感じない。
本作は、1977年という英米がパンク・ムーヴメントに揺れた年を締めくくるように、その年の12月にリリースされた。本作がポスト・パンクの第1号と言ってもいいのかもしれない。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ロイター
2 フィールド・デイ・フォー・ザ・サンデイズ
3 スリー・ガール・ルンバ
4 エクス・ライオン・テイマー
5 ロウダウン
6 スタート・トゥ・ムーヴ
7 ブラジル
8 イッツ・ソー・オブヴィアス
9 サージョンズ・ガール
10 ピンク・フラッグ
SIDE B
1 ザ・コマーシャル
2 ストレイト・ライン
3 106 ビーツ・ザット
4 ミスター・スーツ
5 ストレンジ
6 フラジャイル
7 マネキン
8 ディファレント・トゥ・ミー
9 チャンプス
10 フィーリング・コールド・ラヴ
11 12 X U
当時の彼らのキャッチフレーズ「ロックでなければなんでもいい」は有名になり、これがその後のポスト・パンクやニューウェイヴ全体の指標にもなったと思われる。
そうは言ってもロック的な魅力は満載で、装飾やエンターテイメントを削ぎ落した、ロックのガイコツみたいな、解体寸前の危うさがまた魅力的である。
この年に生まれたパンク・アルバムの中でも、最もクールで、自由で、芸術的で、極めて独創的な傑作だ。
↓ 比較的キャッチーで人気の高い「エクス・ライオン・テイマー」。
↓ アルバムのラストを締めくくる「12 X U」。
(Goro)