格の違いを見せつけた極上のオルタナ・ポップ 〜U2『アクトン・ベイビー』(1991)【最強ロック名盤500】#33

Achtung Baby-Download/Hq- [12 inch Analog]

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#33
U2
“Achtung Baby” (1991)

言うまでもないが、21世紀をすでに四半世紀を過ぎた現在のロックシーンにおいても、U2は世界最高のロック・バンドのひとつである。

もうデビューから45年も経つというのに、現在に至るまでシーンの最前線から退いたことがなく、常に革新的なサウンドを探求してやまず、生真面目でストイックでありながら、とことん好き放題やってくれる、滅法面白いロック・バンドである。

「仕事が出来る」という言葉が似合うロック・バンドだ。彼らならサラリーマンに転身したとしても、楽しみながらもバリバリと働いて、会社を業界ナンバーワンに育て上げることぐらいのことはやっただろうと思える。

真面目は美徳である。

残念ながら、不真面目はいくら頑張っても、絶対に真面目には敵わないのである。これは人生における真理だ。わたしは50歳を過ぎた頃にやっとわかったが、なにしろもう遅すぎた。

ときにはU2も、悪ふざけのような曲を書いたり、悪ふざけのようなパフォーマンスをしたりもする。しかし彼らは悪ふざけにさえも徹底的に磨きをかけて、おそろしく完成度の高い悪ふざけを行うのである。わたしは彼らのそんなユーモアのセンスも好きだ。

彼らが最初に天下を取ったのは、1987年のアルバム『ヨシュア・トゥリー』だった。スケールの大きい、独特の世界観を持つ、美しいアルバムである。ふつうならこれ1枚あればロック史に永久に名を残すことができるだろう。

でも彼らは次のアルバム、1991年11月にリリースされた本作、『アクトン・ベイビー』で驚くべき進化を見せた。台頭するオルタナティヴ・ロックにも親愛のエールを送りつつ、メジャーからマイナーまで最新流行のロックやポップスをすべて肯定的に取り入れて完全にU2化してみせたのだ。

【オリジナルCD収録曲】

1 ズー・ステーション
2 リアル・シング
3 ワン
4 夢の涯てまでも
5 ワイルド・ホーシズ
6 ソー・クルエル
7 ザ・フライ
8 ミステリアス・ウェイズ
9 世界を抱きしめて
10 ウルトラ・ヴァイオレット
11 アクロバット
12 恋は盲目

収録された12曲は、どれでもシングル・カットできると思わせるほどの、とんでもなく充実した出来だ。モンスター級の大傑作アルバムである。

当時のわたしは若い荒削りなオルタナ系バンドばっかり聴いていて、アルバムなんてまあ1曲か2曲面白い曲があればOK、というレベルに慣れきっていたので、本作を聴いたときは信じ難いような思いだった。この12曲を1曲ずつくれてやれば、12のバンドが新たに世に出ることが出来るのに、と思ったほどだ。

1991年というロックシーンが激変した時代に、時代遅れになるどころか、余裕でトップランナーであることを彼らは証明してみせた。実力の違いを見せつけられた思いだった。格が違うなあ、とわたしは思った。

全米1位、全英1位の世界的ヒットとなった本作は、極上のオルタナティヴ・ポップ・アルバムである。実験的で斬新な響きを生み出しつつ、それを最上のポップ・ソングに仕上げている。見事というほかない。

U2は4人とも凄いプレーヤーだが、とくにわたしはジ・エッジのギターが面白くてたまらない。彼の、音色に対する飽くなき探究と、変幻自在のプレイがU2サウンドの柱となっていることは間違いないだろう。

↓ 全英12位まで上昇した「リアル・シング」。目が回りそうなMVだけれども、このMVは1992年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで最優秀グループ・ビデオ賞と最優秀視覚効果賞の2部門を受賞した。

↓ 全英1位、全米10位と、アルバム中最もヒットしたシングル「ワン」。U2の代表曲のひとつとなった。

(Goro)