The Traveling Wilburys
Handle with Care (1988)
当時大きな話題となったスーパー・グループ、ザ・トラヴェリング・ウィルベリーズの結成は、ジョージ・ハリスンが自身のシングルB面曲を録音するために、たまたま一緒に食事する機会のあったロイ・オービソンとジェフ・リン(ELO)の2人に協力を要請したことから始まる。
ジョージはその録音のためにボブ・ディランのホーム・スタジオを借り、トム・ペティに預けてあったギターを取りに行ったついでに彼も巻き込み、そして最終的にはディランも説得して、結局5人で録音したのがこの「ハンドル・ウィズ・ケア」という曲だった。
シングルのB面にするにはもったいないほど出来が良く、レコード会社の要請で結局この5人でザ・トラヴェリング・ウィルベリーズとしてアルバムをつくることになった。この曲はその1stシングルとして発売され、全米2位の大ヒットとなった。
五人の個性的な声のメリハリも効果的な名曲で、わたしも大好きな曲だ。特にロイ・オービソンの部分がわたしは好きだ。
最初、このグループはそれぞれレコード会社が違うという大人の事情もあり、全員がサングラスをしてウィルベリー姓を名乗るという覆面グループとして登場したが、こんなクセの強い声の人たちなので、ラジオで流れただけですぐに正体がバレてしまった。アルバムは大ヒットし、89年のグラミー賞も受賞した。
アルバム中の曲でもやはりわたしは、ロイ・オービソンの「ノット・アローン・エニイ・モア」にとくに感銘を受けた。たぶん、この人が参加していなかったらわたしはそれほど熱心には聴かなかったかもしれない。
1stアルバムが発売された直後から5人は2ndアルバムのレコーディングに取り掛かったが、そのレコーディング中にそのロイ・オービソンが急死してしまう。そのため2ndアルバムの制作は中止され、幻となった。
しかし90年には、残された4人で「3rdアルバム」を制作し、リリースされた。
なのでトラヴェリング・ウィルベリーズのアルバムは『vol.1』と『vol.3』の2枚のみとなっている。
(Goro)