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The Stone Roses:Made of Stone
監督:シェーン・メドウス
出演・音楽:ザ・ストーン・ローゼス
ストーン・ローゼスが2011年に再結成され、翌年のヒートンパーク3daysのコンサートで22万人を動員するまでを追ったドキュメンタリー。
1996年の解散から15年ぶりにあの4人が、郊外の掘っ立て小屋みたいなところに集まってリハーサルをするところから始まる。
バンドのドキュメンタリーの中でも、再結成ものというのはなんだか哀愁があってわたしは好きだ。
年取ってそれなりに見た目も変わったアラフィフのオジサンたちが、本人たちは昔と全然変わってないつもりでやってるのが素敵だと思う。
レニは相変わらず上手いし、キレキレだ。マニは気のいいオジサン丸出しだけれどベースのグルーヴ感はさすが。
ジョン・スクワイアはなぜか見た目もほとんど変わってなくて相変らずクールでカッコいいし、イアンは相変わらず下手クソだ。なのに自信満々でふてぶてしい態度がカワイイ。
見ていてよくわかったのは、このバンドはレニが中心で、レニ次第なのだということ。
音楽的にもそうだけど、ここではヨーロッパ・ツアー中に、レニがモニターのトラブルに怒ってアンコール前にひとりで帰ってしまい、イアンがそのことを非難したことでレニはさらに機嫌を損ね、その後のツアーもすべてキャンセルしてしまうという事態の一部始終が収められている。
監督のシェーン・メドウスは実績のある映画監督だが、若い頃はストーン・ローゼスのファンだったらしく、ローゼスの練習スタジオに初めて入った時の、興奮した様子なども映し出されている。
レニの直筆で「ドラムセットの場所は自由に移動させていいよ」と書かれたメモ書きを見つけると「これはお宝だ」と言いながら丁寧に持ち帰るところなんかも微笑ましい。
そんなファンの視点から制作されたフィルムでもあり、ストーン・ローゼスに対するリスペクトが感じられる作品だ。カメラもしっかりしている。ロック好きの素人みたいな監督が適当にカメラを回して作ったようなものとは全然違う。
それにしても凄い人気だ。
解散して15年も経ってるのに、イギリスでの彼らの人気やカリスマ性は、わたしが思っている以上のものであることがよくわかる。
1stアルバムが出る前の、パンク時代のライブ映像や、全盛期のインタビューやライヴ映像などもファンとしては興味深い。
楽曲がシルバートーン時代の1stアルバムとシングルのものしか使われていないけれど、2ndはゲフィンなので許可が下りなかったのだろう。
(Goro)