Siva (1991)
スマパンはインディ・レーベルからシングルを2枚出した後、1991年8月にこのシングル「シヴァ」でメジャー・デビューした。わたしは彼らを待っていた。
というのもおかしいが、当時はそんな気分だったのだ。
毎月音楽雑誌3誌をむさぼり読み、インタビュー記事や新譜のレビューを隅から隅まで読み、新しい音楽を探していた。あのときわたしが聴きたかったのは、名曲でなくてもいいから、同時代の空気とリアリティ、生々しい刺激を感じて共感できるような、そんな音楽だった。
ストーン・ローゼスやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、プライマル・スクリーム、ソニック・ユース、ダイナソーJr.、ピクシーズ、そしてR.E.M.などのブレイクによって俄然状況は変わってきていた。
こんなことあるのかと思うぐらい、毎月のように新しいロックの波が押し寄せていた。
サーフィンなら伝説になるぐらいの大波がもうすぐそこまで来ているのも気づいていた。
1991年のことである。わたしはそこにいた。
初めてこの「シヴァ」を聴いたとき、ついにホンモノが出てきた、と思ったものだ。楽曲も演奏もハイ・クオリティな、まるでレッド・ツェッペリンみたいなホンモノの重量級のロック・バンドだ。
ビリー・コーガンが掻き鳴らすディストーション・ギターで始まり、躍るようなジミーの強烈なドラム、ダーシーのブロンドがユラユラと揺れるスマパン・グルーヴは、ロックが本当に戻ってきたんだとわたしをの胸を熱くさせたものだった。
(Goro)