The Rolling Stones
1965年1月15日に英国でリリースされた2ndアルバムだ。
前作に続いて、タイトルもアーティスト名もないジャケット、『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』という味も素っ気もない名前で呼ばれるこのアルバムは、1stアルバム同様に非商業主義的でマニアックな黒光りのツヤと輝きを帯びている。
前年のUSツアーの際にシカゴのチェス・スタジオで録音したものや、当時のストーンズの激流のような日々の中で、ライヴツアーやTV出演の合間を縫って、ロスアンゼルスやロンドン、再びシカゴなど大西洋の上を行ったり来たりしながら録音したものなどがごた混ぜになっている。
SIDE A
- Everybody Needs Somebody To Love(ソロモン・バーク)
- Down Home Girl (アルヴィン・ロビンスン)
- You Can’t Catch Me(チャック・ベリー)
- Time Is On My Side(アーマ・トーマス)
- What A Shame(オリジナル)
- Grown Up Wrong(オリジナル)
SIDE B
- Down The Road Apiece(エイモス・ミルバーンまたはチャック・ベリー)
- Under The Boardwalk(ザ・ドリフターズ)
- I Can’t Be Satisfied(マディ・ウォーターズ)
- Pain In My Heart(オーティス・レディング)
- Off The Hook(オリジナル)
- Susie Q(デイル・ホーキンス)
※カッコ内はオリジナル・パフォーマー。作者に非ず。作者を知りたい方はこちら。
今回も1st同様、オリジナルは3曲のみ、それ以外はブルース、R&B、ロックンロールのカバーだ。オリジナルはここでもまだ発展途上の感はあるが、前回の記事でも書いた通り「オフ・ザ・フック」にはちょっと、「おっ」と思わせるものがある。バンドにグルーヴが生まれている。
このアルバムの顔とも言える「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」「渚のボードウォーク」「ペイン・イン・マイ・ハート」など、今回は勢いよりも、情感豊かに聴かせる曲が増えた印象で、より幅広い層に訴える内容になったと思う。
1stのあの激渋な内容と、ライヴ会場やスタジオ観覧で気違いじみた悲鳴をあげる女の子たちとがどうにもリンクせず、あの子たちは本当に家であのアルバムを聴いてたのかななどと不思議に思うこともあったが、このアルバムならギリなんとかリンクする感じだ。
上にあげた4曲は全部良いが、わたしが特に好きなのは、マディ・ウォーターズのカバー「アイ・キャント・ビー・サティスファイド」だ。ブルースの古典を若々しく爽快に聴かせながら、ギターはオリジナルを尊重するなど、リスペクトと情熱が溢れた清々しいカバーだ。あとは「ダウン・ホーム・ガール」もいいな。ミックの粘っこい、いやらしいヴォーカルがいい。
このアルバムについてジョン・レノンが「アルバムは素晴しいが、5分もかかる曲は気にくわない」と評したそうだ。A-1のことを言ってるのだろう。いけすかない野郎だ。わたしはヤツとは滅多に意見が合わないが、しかし悔しいがこの点だけはわたしも同感だった。たしかにムダに長いといつも思っていた。このアルバムの唯一の欠点だと思う。まあ、大した欠点ではないが。
このアルバムも英国チャート10週連続1位となる大ヒットとなった。
そして、米国のみでシングル・カットされた「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」は、全米シングルチャート6位と、初の米国でのトップ10ヒットとなり、彼の地でローリング・ストーンズの名が知れ渡ることになった。
81年のアメリカ・ツアーのライヴ・フィルムで、この曲を演奏したときの観客のひと際大きな歓声と盛り上がりは、アメリカのストーンズ・ファンのこの曲に対する強い思い入れを感じたものだ。
(Goro)