A) この世界に愛を
B) ダンデライオン
B) Dandelion
The Rolling Stones Single 1967
1967年8月は、米国ではサンフランシスコを中心に、フラワー・ムーヴメント、ヒッピー・カルチャー、反戦運動、自由恋愛、そしてサイケデリック・ミュージックなどが花盛りの”サマー・オブ・ラヴ”と呼ばれた社会現象の真っ只中であり、英国のロックシーンにも大きな影響を及ぼした。
そしてローリング・ストーンズにも影響を及ぼした。その最たるものがこのサイケデリック風の実験的なサウンドのシングルである。
複雑なアレンジで、凝ったこともやってるし、新しいことをやろうとしているのはわかるけれども、ストーンズらしさみたいなものはまるで感じられない。こんなことはビートルズさんにでもまかせておけばいいのに、と思ってしまう。
実は、当時は契約上の関係で公表されなかったが、両曲ともに、ジョン・レノンとポール・マッカートニーがコーラスで参加している。
もしかすると奴らがストーンズをそそのかして、こんなヘンなものをつくらせたのではないかとあらぬ疑いをかけたくなったりもする。
ミック、キース、ブライアンのドラッグ所持の容疑による逮捕や裁判で活動が停滞した時期に、自分たちを応援してくれたファンへの感謝が込められた曲なのだそうだが、逆にドラッグをやりすぎてこんなことになってしまったのではと心配になるような作品である。MVのブライアンも完全にイッちゃってる。
全英8位と、英国のシングルチャートでも上位を定位置にしていたストーンズの居場所が徐々に後退しつつあるのがわかるし、全米チャートでは50位と、もはや風前の灯のような成績である。
B面のほうも方向性は同じだが、もう少し「歌」がある。米国ではこちらの方が人気があったというのもわかる気がする。
ニッキー・ホプキンスがチェンバロを演奏し、ブライアン・ジョーンズがメロトロンを演奏している。メロトロンとは、上のMVでも弾いていたが、音色を様々に変えることができる電子鍵盤楽器で、シンセサイザーの祖先のようなものである。
いろんなことがありすぎ、いろんな影響に揺り動かされながら迷走を続けるこの時期のストーンズを象徴するようなシングルだ。
(Goro)