『スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)』UK (1969)
The Rolling Stones
ストーンズにとって2枚目となるベスト・アルバムは、『ビッグ・ヒッツ (ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)』の続編的な選曲で、1966年〜69年のシングル曲を中心にして構成されている。ジャケットは八角形と一風変わったものだ。(ここで取り上げているのはいつものように英国盤で、米国盤は収録曲が違う)
SIDE A
- ジャンピン・ジャック・フラッシュ – Jumpin’ Jack Flash
- マザーズ・リトル・ヘルパー – Mother’s Little Helper
- 2000光年のかなたに – 2000 Light Years From Home
- 夜をぶっとばせ – Let’s Spend The Night Together
- ユー・ベター・ムーブ・オン – You Better Move On
- この世界に愛を – We Love You
SIDE B
- ストリート・ファイティング・マン – Street Fighting Man
- シーズ・ア・レインボー – She’s A Rainbow
- ルビー・チューズデイ – Ruby Tuesday
- ダンデライオン – Dandelion
- シッティン・オン・ア・フェンス – Sittin’ On A Fence
- ホンキー・トンク・ウィメン – Honky Tonk Women
意外な選曲となったのは、64年発売の最初のEPに収録されていた、アーサー・アレキサンダーのカバー「ユー・ベター・ムーヴ・オン」だ。また、これまで英国盤のシングルにもアルバムにも収録されていなかったオリジナル曲「シッティン・オン・ア・フェンス」も収録されている。
「悪魔を憐れむ歌」が入っていないのが不思議な気がする。アルバム『ビトウィーン・ザ・バトンズ』からは1曲も選ばれていないのは、まあ妥当なところか。
結成時はバンドのリーダーであったブライアンがこの年の6月に脱退、7月には自宅のプールで謎の死を遂げた。ザ・ローリング・ストーンズの歴史の最初の章が閉じられた瞬間だった。
一方でこの時期は、ジミー・ミラーとの共同作業が成功したことによって、それまでの迷走から脱出し、今後の方向性がはっきりと見えた。さらに20才の天才ギタリスト、ミック・テイラーが加入したことによってストーンズ・サウンドはこれまでにないほどアグレッシヴかつディープなものへと変化した。そして2年半もの間休止していた、ライヴ・ツアーの再開も決定した。
本作は、ストーンズにとっての一時代の終わりと新生ストーンズとして再出発する、その区切りの意味でリリースされたという。ジャケットの裏側には、ブライアン追悼の一文が記載された。
タイトルは「暗黒時代の終わり」とでもいう意味になるだろうか。1969年9月12日にリリースされた。
全英2位、全米2位と、当時のストーンズの勢いそのままに、商業的にも大きな成功を収めた。
(Goro)