『シングル・コレクション (ザ・ロンドン・イヤーズ)』(1989)
The Rolling Stones
1989年に3枚組CDとして発売された、ストーンズが60年代に英米でリリースしたシングルのA・B面曲をもれなく収録したアルバムだ。58曲も入っている。
60年代のストーンズは、当時のイギリスの慣例で基本的にシングル曲はアルバムに収録しない方針であり、A面曲なら後にベスト盤に収録されることはあるものの、B面曲のほとんどはそれにも収録されていないため、そのすべてをコンプリートしたこのアルバムはファンなら必携の重要盤だ。このアルバムにしか収録されていない曲も多く、これが発売された当時は「とうとう聴けたなあ」と感涙にむせいだ思い出もある。
つまりストーンズの60年代の楽曲は、この連載で紹介した英国版の8枚のオリジナル・アルバムと本作があれば全てコンプリートできるということになる。
Disc 1
- カム・オン – Come on
- アイ・ウォント・トゥ・ビー・ラヴド – I Want to Be Loved
- 彼氏になりたい – I Wanna Be Your Man
- ストーンド – Stoned
- ノット・フェイド・アウェイ – Not Fade Away
- リトル・バイ・リトル – Little by Little
- イッツ・オール・オーヴァー・ナウ – It’s All Over Now
- グッド・タイムズ・バッド・タイムズ – Good Times, Bad Times
- テル・ミー – Tell Me
- 恋をしようよ – I Just Want to Make Love to You
- タイム・イズ・オン・マイ・サイド – Time is on My Side
- コングラチュレーションズ – Congratulations
- リトル・レッド・ルースター – Little Red Rooster
- オフ・ザ・フック – Off the Hook
- ハート・オブ・ストーン – Heart of Stone
- ホワット・ア・シェイム – What a Shame
- ラスト・タイム – The Last Time
- プレイ・ウィズ・ファイア – Play with Fire
- サティスファクション – (I Can’t Get No) Satisfaction
- ウエスト・コーストの宣伝屋 – The Under Assistant West Coast Promotion Man
- クモとハエ – The Spider and the Fly
- 一人ぼっちの世界 – Get Off of My Cloud
- アイム・フリー – I’m Free
- シンガー・ノット・ザ・ソング – The Singer Not the Song
- アズ・ティアーズ・ゴー・バイ – As Tears Go by
Disc 2
- ゴッタ・ゲット・アウェイ – Gotta Get Away
- 19回目の神経衰弱 – 19th Nervous Breakdown
- サッド・デイ – Sad Day
- 黒くぬれ! – Paint It, Black
- ステュピッド・ガール – Stupid Girl
- ロング,ロング・ホワイル – Long Long While
- マザーズ・リトル・ヘルパー – Mother’s Little Helper
- レディ・ジェーン – Lady Jane
- マザー・イン・ザ・シャドウ – Have You Seen Your Mother, Baby, Standing in the Shadow?
- フーズ・ドライヴィング・ユア・プレーン – Who’s Driving Your Plane?
- 夜をぶっとばせ – Let’s Spend the Night Together
- ルビー・チューズデイ – Ruby Tuesday
- この世界に愛を – We Love You
- ダンデライオン(たんぽぽ) – Dandelion
- シーズ・ア・レインボー – She’s a Rainbow
- 2000光年のかなたに – 2000 Light Years from Home
- イン・アナザー・ランド – In Another Land
- ランターン – The Lantern
- ジャンピン・ジャック・フラッシュ – Jumpin’ Jack Flash
- チャイルド・オブ・ザ・ムーン – Child of the Moon
Disc 3
- ストリート・ファイティング・マン – Street Fighting Man
- ノー・エクスペクテーションズ – No Expectations
- サプライズ・サプライズ – Surprise, Surprise
- ホンキー・トンク・ウィメン – Honky Tonk Women
- 無情の世界 – You Can’t Always Get What You Want
- メモ・フロム・ターナー – Memo from Turner
- ブラウン・シュガー – Brown Sugar
- ワイルド・ホース – Wild Horses
- アイ・ドント・ノウ・ホワイ – I Don’t Know Why
- トライ・ア・リトル・ハーダー – Try a Little Harder
- アウト・オブ・タイム – Out of Time
- ジャイヴィング・シスター・ファニー – Jiving Sister Fanny
- 悪魔を憐れむ歌 – Sympathy for the Devil
この【ストーンズの60年を聴き倒す】の連載では、英国盤の全シングルと全アルバムを取り上げてきたので、本作の収録曲はほぼ紹介済みではあるが、1曲だけ「サプライズ・サプライズ」はまだ取り上げていない楽曲だ。
これは1965年発売の米国盤『ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!』に収録されたジャガー/リチャーズのオリジナル曲だが、英国盤にはどのアルバムにも収録されることがなかった(後に1971年発売の「ストリート・ファイティング・マン」のシングルのB面に収録された)。
ついでに、英国盤からは漏れていた曲をあと2曲紹介しておこう。
これも1967年に米国でのみ発売された『フラワーズ』という編集盤に収録された、テンプテーションズのカバー「マイ・ガール」と、クリス・ファーロウへ提供したジャガー/リチャーズのオリジナル曲「ライド・オン・ベイビー」は、英国盤のどこにも収録されなかったトラックなので、ここで拾い上げておこう。
よし、これで60年代のストーンズの楽曲は全曲制覇だ。
この『シングル・コレクション』は、60年代のストーンズの楽曲の権利をいつの間にか独占していた元マネージャー(財務に不明瞭な点が多かったことでミックに追い出された、悪名高き)アラン・クレインが設立したアブコ・レコードからリリースされている。
この後70年代に入ってからも、このアブコ・レコードからは手を替え品を替え、60年代ストーンズの楽曲を使ったベスト盤や編集盤をストーンズの同意もなく、山のようにリリースしている。
それらには特に貴重な収録曲といったものもないので、この連載ではすべて無視する。なので60年代ストーンズの作品を取り上げるのは今回が最後ということになる。
1970年にDECCAおよびアラン・クレインとの契約が切れたストーンズは、自らのレーベル〈ローリング・ストーンズ・レコード〉を設立した。
この連載も、以降は〈ローリング・ストーンズ・レコード〉からリリースされた作品を取り上げていくことになる。
(Goro)