≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その139
The Rolling Stones – Brown Sugar
ストーンズにとって70年代最初のスタジオ・アルバム『スティッキー・フィンガーズ』の1曲目に収録された大ヒットシングル。
キース・リチャーズの大発明と言われるギターの≪リズムリフ≫、光輝く悪魔のチョップ攻撃みたいなイントロが、ストーンズ最強時代の幕開けとなった。
もしもストーンズから1曲しか選べないとしてもわたしはこの曲を選ぶと思う。
独特のグルーヴ感、猥雑でユーモアがあってノリノリで、ストーンズじゃなきゃ絶対に生まれない最強の名にふさわしいロックンロールナンバーだ。
まあどんな言葉を並べても、こういうぶっ飛んだ音楽は表現しきれないけれど。
「ブラウン・シュガー」とは精製前のヘロインの意味らしい。黒人女性にたとえて歌っているのかもしれない。
こんな恐ろしい歌詞を陽気に歌ってしまうのはいかにもストーンズらしい。
よくこんな歌がふつうにラジオから流れていたものだと感心する。
当時から、彼らだけ治外法権だったのかと思えるほど、もうなんでもアリなのだ。
アナーキストなんて目指す必要もないぐらいやりたい放題で、自由すぎる。
ビートルズが解散した直後のシングルだ。
ロック界は新たに超絶的なテクニックを持ったハードロック・バンドが出てきたり、より複雑でややこしい音楽を模索するプログレバンドが出てきたりしている時代に、ストーンズは昔ながらのロックンロールとブルースとカントリーを融合させて、シンプルこの上ないのに圧倒的に新しい音楽をサラッと生み出したかのようだ。
ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ビル・ワイマン、ミック・テイラー、ボビー・キーズ、イアン・スチュワート、…
凄いチームだなあ、とあらためて思う。
きっと彼らの持つ音楽の泉は底無しに深いだけでなく、すべてを笑い飛ばしてしまう悪魔のようなユーモアとエンターテイメント性も備えているからできたことなのだろう。
だからストーンズは最強なのだ。