ザ・プリミティヴズ/クラッシュ (1988)

未定義

【80年代インディー・ロックの快楽】
The Primitives
Crash (1988)

ザ・プリミティヴズは、80年代後半のイギリスのインディ・シーンから出てきたバンドだ。

もともとは男性ヴォーカルで1984年に結成されたが、ヴォーカリストが脱退したため、メモ用紙に「男性歌手募集」と書いてコベントリー図書館に掲示した。その日の午後に早速連絡してきたのがトレイシーだったという。

男性歌手を募集したのに、それを無視して応募してきた女性を採用したのは、やはり美人だったからだろうというのはわたしの想像である。美人というのは、だいたいどんな業種でも採用されやすい生き物だからだ。

この曲は1988年リリースの1stアルバム『ラヴリー (Lovely)』からのシングルで、全英5位と彼らにとって唯一のトップテンヒットとなった代表曲だ。アメリカでもオルタナティヴ・チャートの3位まで上昇している。

ザ・スミスとラモーンズとブロンディの要素を併せ持ったようなバンドで、革ジャン野郎たちが奏でるパワフルなサウンドと、マリリン・モンローとデボラ・ハリーの中間ぐらいの女性ヴォーカル、トレイシー・トレイシーがウィスパー・ヴォイスで歌うポップなメロディが特長だ。

ちなみに、モリッシーがプリミティヴズのTシャツを着ている写真が雑誌に掲載されたことが大きな宣伝効果になったという。

この曲が収録された1stアルバムは全英6位のヒットとなったが、2ndアルバムは33位と大きくセールスを落とした。そして1992年1月に、3rdアルバムをリリースした直後に解散した。

(Goro)