ついに本性を現した三頭の怪物 〜ザ・ポリス『白いレガッタ』(1979)【最強ロック名盤500】#274

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【最強ロック名盤500】#274
The Police
“Reggatta De Blanc” (1979)

手っ取り早く売れるためだったのか、それともそれなりにシンパシーを感じていたのか、パンクのふりをしてデビューしたザ・ポリスだったが、ついにこの2ndアルバムで三頭の怪物が本性を現した。

1stアルバムのジャケットでは、映画『スタンド・バイ・ミー』の悪ガキたちがバンドでも始めたかのような印象だったけれども、たった1年後のこの2ndのジャケットではいかにもクレバーで腕の立つ大人の素顔をとうとう曝け出した感じだ。

なにしろ、スティングは元小学校の美術教師で当時28歳、元カーヴド・エアのドラマー、スチュアート・コープランドは27歳、元アニマルズのギタリスト、アンディ・サマーズは37歳で、パンクのガキどもとは人生経験も演奏経験もレベルが違ったのだ。

デビュー当時はビッグマウスで(たぶんこれも戦略だったのだろう)、「ビートルズが打ち立てたすべての記録を3年以内に塗り替える」などと豪語していたものだが、記録はともかく、驚異的な歌声とベース演奏とソングライターを兼ね備えるモンスターがいて、それを支えるバンドの技量も超一流、しかも見た目もいいから女子人気もあって、となったらイギリスで天下を獲るのなんて時間の問題だったにちがいない。

1979年10月にリリースされた本作は、レゲエとロックを融合した、「ザ・ポリス」という以外に言いようのない、まったく新しいオリジナルなスタイルを構築した。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 孤独のメッセージ
2 白いレガッタ
3 イッツ・オールライト・フォー・ユー
4 ブリング・オン・ザ・ナイト
5 死の誘惑

SIDE B

1 ウォーキング・オン・ザ・ムーン
2 オン・エニイ・アザー・デイ
3 ひとりぼっちの夜
4 コンタクト
5 ダズ・エヴリワン・ステア
6 ノー・タイム・ディス・タイム

コープランドが「3人が最高の形で噛み合った、ポリスの究極の曲」と自画自賛したA1「孤独のメッセージ」は、ポリスにとって初めてとなる全英シングルチャートの1位を獲得するヒットとなり、ポリスの代表曲として広く知られている。

さらにB1「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」もシングル・カットされ、これも全英1位を獲得した。他にB3「ひとりぼっちの夜」も注目すべき曲だし、A2「白いレガッタ」(フランス語で白いレゲエの意)はグラミー賞の最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞した。

スティング自身も「ここで僕らは本当に自分たちの音を見つけた」と語った本作は、スピード感やポップな意匠を備えながらも、洗練の極みのような、無駄な音の一切ない、奇跡のようなオリジナリティを持った作品となった。

アルバムは全英1位、全米25位と商業的にも大成功となったが、ただしアンディ・サマーズの自伝によれば、3人の優れたミュージシャンの火花の散るような化学反応が幸福に思えたのは、このアルバムまでだったという。

↓ 全英1位のヒットとなり、ポリスの代表曲として知られる「孤独のメッセージ」。

↓ シングルカットされてこれも全英1位となった「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」。

(Goro)

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