ザ・ラーズ/ゼア・シー・ゴーズ (1988)

【80年代ロックの快楽】
The La’s
There She Goes (1988)

ザ・ラーズは英リヴァプール出身のバンドだ。彼らはデビュー以来、呆れるほどの迷走を繰り広げたことでも知られている。

1987年にシングル「ウェイ・アウト」でデビューし、翌年の2ndシングル「ゼア・シー・ゴーズ」は高い評価を得るもセールスは伸びなかった。

フロントマンでソングライターでもあるリー・メイヴァースは、見るからに頑固職人タイプだ。

3rdシングルの出来に満足がいかず、直前になって発売を中止させ、そのためレーベルと揉め、プロデューサーと揉めることになった。さらには、レーベルが莫大な制作費を投入し、2年を費やしたアルバムの制作も途中で放棄してしまう。

制作費を回収したいレーベルの指示でプロデューサーが独力で仕上げて発売したら、それでまた激怒してファンに「買うな」と発言したりと、さすがにちょっとどうかしてるぜというてんやわんやが続いた。

アルバムのリリースに合わせて、1990年には「ゼア・シー・ゴーズ」のシングルが再発売され、全英13位、米オルタナ・チャートで2位まで上昇するヒットとなった。

初期バーズのような親しみやすいアコースティック・サウンドと、シンプル極まりない美メロはいかにもイギリスらしい楽曲として愛され、彼らの代表曲として永く聴き継がれた。

その後もライブ活動は続けていたものの、結局彼らは、その「買ってはいけない」らしいアルバム1枚だけしか残さなかった。メンバーも「1986年から同じ曲ばかり演奏している」と不満を募らせて脱退するなど、1991年には実質的な解散状態となった。

しかし2005年に突如として再結成すると、イギリスやアイルランドでツアーを行い、来日してサマーソニック05のトリも務めた。

その翌日に行われたSHIBUYA-AXにおけるライヴには、彼らのファンだという、同じくサマーソニックのために来日していたオアシスのメンバー全員が、揃って2階席から観ていたという。

(Goro)

コメント

  1. アイアイ♪ より:

    ゼア・シー・ゴーズが再発された1990年、ワタクシがまさにロンドン滞在中でしたので、あの頃の状況はよく覚えております。
    翌、1991年の2月に帰国したのですが、ザ・ラーズの英国内ツアーが丁度帰国に始まり、ロンドン公演に行けず本当に悔しかったナア!
    ただ、同年に来日したので、ロンドン滞在時によくお世話になっていた、当時ロッキンオンで通訳や翻訳をしたり、アーティストのアルバムのライナーを書いたりしていた山下えりか女史に頼んで、ロッキンオン経由で渋谷クラブクアトロ2日間両日のゲストリストに載せてもらい無事観ることが出来ました。
    随分経つので覚えていない部分も多くなりましたが、来日の間、リー・メイヴァースがずっと同じズボン(紺色のアディダスのスウェットパンツ)を履いていたらしいというウワサだけはハッキリ覚えています(笑)。

  2. Goro より:

    アイアイさん、いつもありがとうございます!

    山下えりかさんともお知り合いでしたか!
    またひとつアイアイさんの交友関係に驚かされました笑

    ザ・ラーズに対する熱量というのはやっぱりイギリスではすごい感じですね。日本ではそこまで盛り上がってたかなという印象でしたけど。。

    リー・メイヴァース、見るからに着るものに興味なさそうですね笑