⭐️⭐️⭐️⭐️
The Doors
“Strange Days” (1967)
ドアーズは不思議なバンドだ。
ベースのいない編成や、キーボードを中心にしたアレンジや、難解な歌詞や、エキセントリックなヴォーカルと、変態的な要素が満載な割にはマイナー臭やアンダーグラウンド臭があまりしない。メジャー感のほうが強いのだ。商業的な臭いもほとんどしないのに、商業的にも大成功している。
きっと彼らが備えているポップ・センス、ジム・モリソンというロックスターの存在感、そして確信に満ちたその音楽的完成度に万人を圧倒するような説得力があるからなのだろうと思う。
本作は、名盤1stから9ヶ月という短いインターバルでリリースされた、ドアーズの2ndアルバムだ。全米3位の大ヒットとなった。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ストレンジ・デイズ
2 迷子の少女
3 ラヴ・ミー・トゥー・タイムズ
4 アンハッピー・ガール
5 放牧地帯
6 月光のドライヴ
SIDE B
1 まぼろしの世界
2 マイ・アイズ・ハヴ・シーン・ユー
3 おぼろな顔
4 音楽が終ったら
1stアルバムも素晴らしかったが、この2ndもまたそれに勝るとも劣らない傑作である。
あらためて聴いてみると、こちらの方がバンドの一体感と共に、実験的な試みも含むアレンジも統一感があり、独特の芳香を放っている。
アルバムの原題を直訳すれば「奇妙な日々」だが、邦題の『まぼろしの世界』の方がしっくりくる、トータル35分間の異世界の旅に陶然とさせられる気分だ。コンセプト・アルバムではないのに、この時代に生まれた多くのコンセプト・アルバムよりよっぽど強固な世界観を感じる。
シングルカットされたB1「まぼろしの世界」は全米12位、A3「ラヴ・ミー・トゥー・タイムズ」は全米25位のヒットとなった。
A1「ストレンジ・デイズ」は、ロック史上初めてモーグのシンセサイザーが使用されたことでも知られる。シンセを弾いているのはジム・モリソンだ。
上に挙げた3曲に加え、A2「迷子の少女」やA4「アンハッピー・ガール」なんかも好きな曲だ。
インパクトのあるジャケットも、もはやクラシックな”名画”にすら見えてくるような傑作だ。
↓ 全米12位のヒットとなった「まぼろしの世界」。
↓ 全米25位のヒットとなった「ラヴ・ミー・トゥー・タイムズ」
(Goro)