わたしはこれが一番好き 〜ザ・キュアー『ウィッシュ』(1992)【最強ロック名盤500】#335

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⭐️⭐️⭐️⭐️
【最強ロック名盤500】#335
The Cure
“Wish” (1992)

80年代の英国ロックを代表するバンド、ザ・キュアーの通算9枚目、90年代では最初のアルバムとなった。

89年の前作『ディスインテグレーション』から3年ぶりとなり、その3年の間にロック・シーンの勢力図は激変していた。オルタナティヴ・ロックが台頭し、アンプのヴォリュームを思いっきりあげたギター・ロックが主流となり、次々とブレイクする新世代のバンドたちが、激しい、刺激的なロックを聴かせいた。

正直、もはやキュアーなんかの出る幕ではないと思っていた。80年代の象徴のような暗黒バンドに、わたしも今さら期待もしていなかった。

しかし一聴して、その出来の良さに驚いた。

格の違いを見せつけられた感じだった。

「うわ、キュアーって本気出したらこんなに凄いのか」とわたしは思った。

暗黒で陰鬱で病的なイメージのあるキュアーだったけれども、1992年4月にリリースされた本作は、ポジティヴでエネルギッシュな一面と、ロバート・スミスのソングライティングのスキルの高さ、引き出しの多さを見せつけるようなバラエティに富んだ佳曲を、ズラリと並べて見せたものだった。

【オリジナルCD収録曲】

1 オープン
2 ハイ
3 アパート
4 フロム・ジ・エッジ・オブ・ザ・ディープ・グリーン・シー
5 ウェンディ・タイム
6 ドゥーイング・ジ・アンスタック
7 フライデイ・アイム・イン・ラヴ
8 トラスト
9 ア・レター・トゥ・エリーズ
10 カット
11 トゥ・ウィッシュ・インポシブル・シング
12 エンド

1曲目の「オープン」から、若いバンドなど敵ではないかのように、ライヴの場数で鍛えたバンドの力強い一体感とグルーヴに惹き込まれる。

楽曲はバラエティに富み、持っている引き出しの数が違うなと感心させられる。

シングル・カットされた「ハイ」はキュアーらしいクールな親しみやすさが感じられ、「フライデイ・アイム・イン・ラヴ」はキュアーらしからぬ明るい曲調の完璧なポップ・ソングだし、感動的な「レター・トゥ・エリーズ」は、スタジアムに響き渡れば泣いてしまうんじゃないかと思うほどだ。

わたしは、キュアーではこのアルバムが一番好きだ。

このアルバムで彼らは初めての全英1位を獲得し、そしてこれも初の、全米2位まで上昇する世界的ヒットとなった。

↓ 全英6位、全米32位まで上昇し、キュアーにとって最も売れたシングルとなった「フライデイ・アイム・イン・ラヴ」。MVもいつになく明るくコミカルで、女子のファンなら「ロバちゃんかわいー」なんて萌えちゃうこと間違いなしだ。

↓ 全英8位、全米22位のヒットとなった「ハイ」。

(Goro)

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