ザ・クラッシュ『白い暴動』(1977)【最強ロック名盤500】#238

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#238
The Clash
“The Clash” (1977)

ザ・クラッシュのフロントの両輪、ジョー・ストラマーとミック・ジョーンズ。二人がクラッシュを結成することになった経緯は、まったく同じきっかけからだった。

軌道に乗らなかったバンド、ロンドンSSを解散したばかりだったミック・ジョーンズは、セックス・ピストルズの初ライヴを観て「これからはこれだ」と感じた。そして、以前バンドのオーディションにやってきたが採用しなかったポール・シムノンに連絡を取り、新しいバンドを結成するからベースを練習するように、と伝えた。

ジョー・ストラマーは自身のバンドThe 101ersのライヴの前座として出演したセックス・ピストルズを観て、自分たちのバンドはもはや時代遅れなんだと気づいた。彼はミック・ジョーンズに誘われると、The 101ersを脱退して、彼のバンドに参加した。バンド名は新聞によく出てくる「Clash」という言葉をポール・シムノンが提案して決まった。ドラマーにはテリー・チャイムズが参加した。

ザ・クラッシュは76年7月にセックス・ピストルズの前座として初めて人前で演奏し、半年ほどライヴ活動をした後、CBSと10万ポンド(当時のレートで6千万円ぐらい)で契約した。

パンク・バンドが破格の大金で大手のレコード会社と契約したことは非難を浴び、「クラッシュがCBSと契約した日にパンクは死んだ」とまで書かれたが、しかしバンドが交わした実際の契約内容は、ツアー、レコーディング、編集、アートワークなど、必要な経費をすべて自費で払わなければならないという、最悪の契約だったという。

そのため当初は資金繰りが苦しく、1977年の初頭に3週間の週末を使ってチャチャッとあまりお金をかけずに制作したのが本作だった。アートワークにもあまりお金をかけてなさそうなのがよくわかる。本作は77年の4月にリリースされ、全英12位のヒットとなった。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ジェニー・ジョーンズ
2 リモート・コントロール
3 反アメリカ
4 白い暴動
5 憎悪・戦争
6 ワッツ・マイ・ネイム
7 否定

SIDE B

1 ロンドンは燃えている!
2 出世のチャンス
3 ペテン
4 反逆ブルー
5 ポリスとコソ泥(ジュニア・マーヴィンのカバー)
6 48時間
7 ガレージランド

本作は、ピストルズの『勝手にしやがれ』と並んで、わたしがいちばん好きなパンク・アルバムだった。ぶっちゃけ、英国パンクの名盤と呼べるのはこの2枚だけだったんじゃないかとさえ思う。

この生々しさ、このカッコよさ。有り余る若いエネルギーが溢れ出し、弾け飛ぶような勢いが痛快だ。

ドラマーのテリー・チャイムズは「正式なドラマーが決まるまで」という条件だったため、本作のジャケットにも写っていないが、彼の粗いドラムがまたパンクっぽくていい。

時事ネタや思想の濃さは、わたしはまあ雰囲気だけ貰っとくという感じで、具体的な内容はどうでもいいが、何よりもストレートなビートに覚えやすいメロディで、思わず口ずさみたくなる。気持ちが熱くなる。

A4「白い暴動」はアルバムより1ヶ月早く、クラッシュのデビュー・シングルとしてリリースされた。全英38位まで上昇した、初期の代表曲だ。2ndシングルはミック・ジョーンズの少年のような声が鮮烈なA2「リモート・コントロール」だった。

B5「ポリスとコソ泥」はジャマイカのレゲエ・シンガー、ジュニア・マーヴィンが前年にリリースしてジャマイカで大ヒットしたシングルのカバーだ。パンク・バンドがレゲエをレパートリーにした最初の例となり、これを聴いたボブ・マーリィが「パンキー・レゲエ・パーティー」を書いた。

上に挙げた曲以外では、わたしはA1「ジェニー・ジョーンズ」、B2「出世のチャンス」、B7「ガレージランド」なんかが特に好きだ。

久しぶりに聴いたけど、やっぱり最高だな。

ロックも多様化して、なんだかよくわからないものも多い中で、こういうクラッシュみたいな、ただもうシンプルでストレートでカッコいいだけのロックを聴くと、「ああ、これよ、これこれ」と、服を脱ぎ捨てて金玉をブラブラさせるような実に爽快な気分になるのだ。

↓ オープニングを飾る「ジェニー・ジョーンズ」。わたしはもうこの最初の一撃でノックアウトされたものだった。

↓ デビュー・シングルとなった初期の代表曲「白い暴動」。

(Goro)

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コメント

  1. サカモト より:

    はじめて買った洋楽のCDです。
    ジェニー・ジョーンズでお!と思い(単調だけど最後のメロディに希望)
    リモートコントロールで完全にやられました。
    最初がピストルズやダムドだったらパンクの深堀りしてただろうか?

    自分が考えるいいバンドの定義として網目のように次のバンドやジャンルにつなげてくれる、と考えます。豊富なブックガイドがのっている本のようにクラッシュはたくさんのバンドにつなげてくれました!

    • Goro より:

      サカモトさん、コメントありがとうございます。

      初めて買った洋楽CDがこれなんて、最高のチョイスじゃないですか!(ちなみにわたしはちゃんと憶えてないのだけれども、たぶんボブ・ディランの『フリーホイーリン』だった気がします。そのときは、失敗した!としか思いませんでした笑)

      わたしが『白い暴動』を初めて聴いたときとほぼ同じ印象です。よくわかります。
      わたしも、クラッシュを聴かなければ、パンク・ロックをそんなに面白いものだと思わなかったと思いますね。