The 101’ers
Keys To Your Heart (1976)
「ザ・ワンオーワナーズ」と読むThe 101’ersは、クラッシュを結成する前のジョー・ストラマーが在籍したバンドだ。1974年にロンドンで結成し、ロンドンのパブを中心に演奏していた、いわゆるパブ・ロックに括られるバンドだ。
そして1976年4月、The 101’ersの前座として出演した、デビュー前のセックス・ピストルズを観て、ジョーはパンクに目覚めたという。
「ピストルズの最初の曲を5秒聞いただけで、俺たちは古い新聞で、もう過去の物なんだとわかった」と彼は語っている。
その1976年にリリースされた、The 101’ersにとって初めてのシングル・レコードがこの曲だった。
しかし、リリースされたときにはすでに彼らは解散していて、ジョーはクラッシュを結成していた。なので、当時正式にリリースされたThe 101’ersのレコードはこの1枚のみである(その後、未発表音源としてライヴ盤などが発売されている)。
いかにもパブ・ロックらしい、シンプルかつタイトな演奏のイントロから始まって、ジョーの歌が入ってくる瞬間はもうほとんどクラッシュだ。なんだか嬉しくてゾワゾワーッとなる瞬間だ。
ジョー・ストラマーは、最初からジョー・ストラマーだった。彼の声は特別美しいわけでもテクニックがあるわけでもないが、誰とも違う独特の魅力がある。野性的で強靭だが、熱くて、純真で、優しさとユーモアがあって、誰よりもリアルでクールなロック・シンガーヴォーカリストだ。
この1年後に彼はザ・クラッシュを結成し、滅法熱い、最高にカッコいいレコードを世に送り出し、世界中のパンクな若者たちを夢中にさせた。
(Goro)