Sugar
Helpless (1992)
シュガーは、「ウェーディンベ~~ル、からかわないでよォ、ウェーディンベ~エ~〜ル」のあのシュガーではなくて、元ハスカー・ドゥのフロントマン、ボブ・モールドのバンドだ。
「ヘルプレス」というのもあのクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの名曲「ヘルプレス」のカバーではなくて、オリジナル曲である。
いろいろと説明が多くなる曲だ。
80年代に活動したハードコア・パンク・バンド、ハスカー・ドゥはインディーズ・レーベルに3枚、メジャーに3枚のアルバムを残したが、87年に解散してしまった。しかし、その後続々と出てきたグランジ系バンドが最も影響を受けたバンドとして、再評価されることになった。
そのハスカー・ドゥのフロントマンだったボブ・モールドが92年にジョージア州で他2名と結成したのがこのシュガーで、グランジ・ブームの真っただ中「ついに御大登場!」と歓迎されたものだった。
ハスカー・ドゥの頃のハードコア・テイストは砂糖を加えたようにまろやかになり、わかりやすい歌メロとわりと聴きやすい轟音ギターという、当時流行のグランジに寄せて行った感のあるアルバムは全英10位(この頃のオルタナ系のバンドはアメリカよりイギリスで注目された)を記録するなど好評をもって迎えられた。
わたしはハスカー・ドゥはもちろん評価はしているのだけど、ちょっとわたしには激辛が過ぎる。
わたしは台湾ラーメンが好きで、近所の店ではいつも3辛を頼むのだけど、ハスカー・ドゥは5辛ぐらいで、ちょっと辛すぎるのだ。
逆にこのシュガーは1辛ぐらいなので、ちょっと辛さが物足りないとも実は思っているが、このぐらいがちょうど良いと思う人ももちろんいるだろう。
シュガーはその後94年に2ndアルバムを発表し、これも全英3位とよく売れたが、96年にベーシストが「家族との時間を大切にしたい」という理由で脱退し、解散に至る。
いやいや仕事だろ、とツッコミたくもなるが、拘束時間が長くてサービス残業の多いブラック企業に嫌気がさして辞める会社員のような気持ちだったのかもしれない。
(Goro)