Suede
The Drowners (1992)
英ロンドン出身の4人組、スウェードは、1992年に5月にこのシングルでインディーズからデビューした。
当時のわたしはイギリスもアメリカもインディーズのロックが面白くて、ロッキング・オンやクロスビートなんかをチェックしながらそんなのばっかりを聴いていたのだけど、このスウェードの登場は、インディーズらしからぬ、妙に完成したヤツらが出てきたなあと感心したことをよく覚えている。インディーズチャートの世界では久々の大ヒット曲と言えた。
マッドチェスターとシューゲイザーが怒涛の勢いで衰退した後に、まさかのグラム・ロックかよ、と嬉しく思ったものだ。
たぶんデヴィッド・ボウイの影響は大きいのだろうけど、T.レックスのような華のあるポップなわかりやすさと、スミスやキュアーのような耽美的でアブない社会不適合者の匂い、そしてB級グラムバンドの胡散臭さなんかもちゃんと備えていた。言わば完全体のグラム・ロックだ。
だれか僕に銃をくれ、兄さんを殺るんだ
兄は僕に電流が走るような快感を教えた
これでも愛を信じるかい?と囁きながら恋人たちが裏切りあっているあいだに
僕たちはヒットソングを聴きながらキスを繰り返し
快感に溺れていくゆっくり、もっとゆっくりして
僕は凌辱され、深みに嵌まり、支配される(written by Brett Anderson, Bernard Butler)
近親相おカマというなかなか刺激的な内容で、面白いと思う人もいるだろうし、キモいと思う人もいるだろう。世間にはいろいろな人がいる。いろいろな人がいていいし、いろいろな歌があっていいのだ。
ブレット・バトラーの歌詞のインパクトがそのままスウェードの世界観を創り出しているが、サウンド的にはギタリストのバーナード・バトラーの存在が大きかったと思う。
翌94年には脱退してしまうが、豪快さと繊細さを併せ持った、キレのある彼のギターが好きだった。
彼のギターがなかったら、わたしはスウェードを好きになってたかどうかわからないなあ。
(Goro)