⭐️⭐️⭐️
“Stoned”
監督:スティーヴン・ウーリー
主演:レオ・グリゴリー
【※ネタバレあり】
これはブライアン・ジョーンズの伝記映画というよりは、彼の死の真相を描くことを主題にした映画だ。
なので、ローリング・ストーンズのストーリーも、ブライアンのミュージシャンとしての姿も、彼の内面も、ほぼ描かれていない。
どちらかというとこの作品の軸となっている人物は、ブライアンを殺したとされている、建築家の男だ。
彼が殺意を抱いたほどの、晩年のブライアン・ジョーンズとはどんな人物であったか、というところから描かれているわけで、いつも裸の女たちに囲まれ、自堕落で放埓で金銭感覚がマヒした日々を送る、アルコールとドラッグでイカれた非常識で横柄なロックスター様であり、やがてバンドをクビになり、名声と富と友人と恋人を失った、孤独な若者である。
この映画を見るのはわたしは2回目だ。
最初に観たときは、ブライアンのダメなところと悪いところと情けないところしか描かれていないので、あまりにもディスられっばなしの彼が気の毒過ぎると思ったものだけれど、まあ今あらためて見てみると、そもそも伝記映画を目的としたものではないし、どんな映画も登場人物のすべての経歴が描かれるわけではないのだ。
ストーンズのファンとして「ブライアンには素晴らしい功績がたくさんあるのに!」なんて怒ったところで仕方がない。これは彼を、殺された被害者として描いた殺人事件の物語なのだから。
音楽を主題とした映画ではないし、例によって使用許可が下りなかったのだろう、ストーンズの曲も一切使用されていないが、冒頭の「リトル・レッド・ルースター」の演奏と映像はなかなか美しいものだった。それまで聴いたこともなかった画期的なサウンドでイギリスの若者たちを魅了したストーンズの衝撃がよく伝わってきた。
ブライアンを演じる俳優はよく似ていてカッコいいし、恋人のアニタを演じる女優も、知性的な表情と一度見たら忘れられないロケットオッパイを兼ね備えていて、とても美しい。
(Goro)