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Peter Gabriel
“So” (1986)
その昔はジェネシスというブログレ・バンドを率いたピーター・ガブリエルが、脱退してソロになってからの5作目のアルバムだ。1986年5月にリリースされた。
当時流行のワールド・ミュージックの要素などもうまく使いながら、よりポップに作り込まれたサウンドで全英1位、全米2位、日本のオリコンでも9位と、とにかく売れまくった。世界中の人に「元ジェネシス」という鬱陶しい肩書きを完全に忘れさせ、人気ポップスターへと軽やかに変貌したのだった。
ソロ第1作から4作続けて『ピーター・ガブリエル』というまったく同じセルフ・タイトルのみのアルバムを発表して全国のレコード・ショップを困らせたが、これ以上は許さん!とレコード会社に叱られて付けたのがこの『So』だ。5枚目なのでドレミファソのソと付けただけで、やはり意味はないらしい。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 レッド・レイン
2 スレッジハンマー
3 ドント・ギヴ・アップ
4 ザット・ヴォイス・アゲイン
SIDE B
1 マーシー・ストリート
2 ビッグ・タイム
3 ウィ・ドゥ・ホワット・ウィアー・トールド
4 ディス・イズ・ザ・ピクチャー
5 イン・ユア・アイズ
『So』からはシングル・ヒットが続々と生まれたが、最もビッグ・ヒットを記録したのがA2「スレッジハンマー」だ(全米1位、全英4位)。大ヒットの背景にはポップで親しみやすい曲調以外にも、大いなる手間ひまとお金をかけ、凝りに凝った、ふざけにふざけたMVがMTVでヘビロテになり、注目を集めたことも大きかった。
現在では想像もつかないだろうけど、当時のMTVにはそれほどの影響力があったのだ。
MTVのヘビロテにハマれば、地球上のあらゆる場所でCDが飛ぶように売れ、一夜にしてアーティストは億万長者になることが出来た。
オープニング・トラックの「レッド・レイン」が、わたしは一番好きだ。他にもケイト・ブッシュとのデュエット「ドント・ギヴ・アップ」も胸に突き刺さるような曲だ。
今思えば本作こそは、あの80年代を象徴する、あのバブルの時代の絶頂を極めた作品という気がする。
↓ オープニングを飾る代表曲「レッド・レイン」。
↓ ピーガブ最大のヒットとなった「スレッジハンマー」。凝りに凝ったMVが話題に。
(Goro)