ニルヴァーナがカバーした曲のオリジナルを集めてみた【全12曲】

MTV UNPLUGGED IN NEW YORK [12 inch Analog]

ニルヴァーナは、オリジナリティ溢れる楽曲を多く残したが、彼らがカバーした楽曲についてもその独特の選曲が注目を集めた。

特にヴァセリンズやミート・パペッツといったバンドは、一般的にはまったく無名の存在だったが、カート・コバーンが深くリスペクトしていること、そして彼のあの独特なソングライティングのお手本にもなっていることが、そのカバーを聴いて一瞬にしてわかったものだ。それはまさに、そのことをリスナーたちに広く伝えようとしているかのようだった。ニルヴァーナの音楽の原点と、彼らが目指したスタイルがよく理解できる選曲だった。

ここではそんなニルヴァーナがカバーした12曲の、オリジナル音源を集めてみました。

ショッキング・ブルー
ラヴ・バズ (1969)
Shocking Blue – Love Buzz

大ヒット曲「ヴィーナス」で知られるオランダ出身のロックバンド、ショッキング・ブルーが1969年にリリースした2ndアルバム『アット・ホーム』収録曲。サイケデリック感も漂う不思議な曲ではある。クールではあるが。それにしても、よくこれをカバーしようと思ったものだ。

ニルヴァーナのカバーは彼らのデビュー・シングルとして、サブ・ポップから1988年にリリースされた。

Shocking Blue – Love Buzz

ディーヴォ
ターンアラウンド (1980)
Devo – Turnaround

米オハイオ州出身のニューウェイヴ・バンド、ディーヴォの最も売れたシングル「ウィップ・イット」(全米14位) のB面に収録された曲。

それほど魅力的な曲にも思えないが、ニルヴァーナにかかるとカッコいいグランジ・ソングに変貌するからたいしたものだ。

ニルヴァーナのバージョンは『インセスティサイド』(1992)に収録されている。

DEVO: Turn Around

ザ・ヴァセリンズ
サン・オブ・ア・ガン (1987)
The Vaselines – Son of a Gun

カート・コバーンが愛してやまなかったスコットランド出身のバンド、ザ・ヴァセリンズのデビューEP収録曲。チープなサウンドにノイジーなギターとポップなメロディの組み合わせはそのままニルヴァーナの音楽の手本となっていることがよくわかる。

ニルヴァーナのバージョンは『インセスティサイド』(1992)に収録されている。

Son Of A Gun

ザ・ヴァセリンズ
モリーズ・リップス (1988)
The Vaselines – Molly’s Lips

ヴァセリンズの2枚目のEP「Dying for It」収録曲。フランシス・マッキーのヘタウマなヴォーカルと脱力するようなパフパフラッパも楽しい、キュートな曲だ。

ニルヴァーナのバージョンは『インセスティサイド』(1992)に収録されている。

Molly's Lips

ザ・ヴァセリンズ
ジーザス・ウォント・ミー・フォー・ア・サンビーム (1988)
The Vaselines – Jesus Wants Me for a Sunbeam

これもヴァセリンズの2枚目のEP「Dying for It」の収録曲。美しい曲だ。ヴァセリンズの曲の中で一番好きな曲。

ニルヴァーナはタイトルを「Jesus Doesn’t Wants Me for a Sunbeam」に改題しているが、しかし歌詞はどちらも同じで歌い出しは、”Jesus Don’t Wants Me for a Sunbeam”である。英語が不得意なわたしにはどういうことなのかよくわからない。

ニルヴァーナのバージョンは『MTVアンプラグド・イン・ニューヨーク』で原曲に近いアレンジで披露されている。

Jesus Wants Me For A Sunbeam

デヴィッド・ボウイ
世界を売った男 (1970)
David Bowie – The Man Who Sold the World

デヴィッド・ボウイが1970年にリリースした3rdアルバム『世界を売った男』のタイトル曲。

ニルヴァーナとボウイなんて意外な組み合わせだなと思ったものだが、聴いてみれば実にしっくりきたものだ。選曲の絶妙さと、ニルヴァーナの幅広い音楽性に思わず唸った。

ニルヴァーナのバージョンは『MTVアンプラグド・イン・ニューヨーク』に収録されている。

The Man Who Sold the World (2015 Remaster)

ミート・パペッツ
プラトゥー (1984)
Meat Puppets – Plateau

米アリゾナ州出身のミート・パペッツは、カート(ヴォーカル&ギター)とクリス(ベース)のカークウッド兄弟とデリック・ボストロム(ドラム)の3人で結成されたバンドだ。

パンク、ハード・ロック、カントリーなどを融合したスタイルのバンドで、独創的なソングライティングが特長だ。この曲は彼らの2ndアルバム『ミート・パペッツ Ⅱ』に収録されている。

ニルヴァーナのバージョンは『MTVアンプラグド・イン・ニューヨーク』に収録されている。

Plateau

ミート・パペッツ
オー・ミー (1984)
Meat Puppets – Oh Me

ニルヴァーナは『MTVアンプラグド・イン・ニューヨーク』のステージにカークウッド兄弟をサポートメンバーとして招き、ミート・パペッツのカバーを3曲も披露している。カートの彼らに対する強いリスペクトがよくわかる。

そけにしても、こんな世界中が注目した番組で、世間にまったく知られていない曲を3曲も披露することになったカークウッド兄弟はきっと、ビビりまくっただろうな。

披露された3曲はすべて2ndアルバム『ミート・パペッツ Ⅱ』に収録されている。

Oh, Me

ミート・パペッツ
レイク・オブ・ファイア (1984)
Meat Puppets – Lake of Fire

ミート・パペッツは、インディ系ロックのマニア以外にはほとんど知られていないバンドだったが、この独特のソングライティングにカート・コバーンが大きな影響を受けているのは明らかだ。

わたしもニルヴァーナのカバーを先に聴いたが、この曲なんかはまさにニルヴァーナそのものだな、と思ったものだった。

Lake of Fire

レッド・ベリー
イン・ザ・パインズ (1940年代?)
Leadbelly – In the Pines

ニルヴァーナのバージョンは『MTVアンプラグド・イン・ニューヨーク』に「ホエア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」のタイトルで収録されている。カートが最後のコーラスを野獣のような絶叫で歌う、印象的な最終曲だった。

もともとは米国の古い民謡のようで、タイトルも「In the Pines」だったり「Black Girl」や「My Girl」だったりとさまざまな名で呼ばれる。

ニルヴァーナのカバーは、米ルイジアナ州出身のブルースマン、レッドベリーが1940年代に録音したものを手本にしたと思われる。

In the Pines

ファング
ザ・マネー・ウィル・ロール・ライト・イン (1982)
Fang – The Money Will Roll Right In

ファングは1980年代にカリフォルニアで活動した、ハードコアパンクバンドだ。この曲は彼らの1stアルバム『ランドシャーク』のオープニングを飾る曲だが、わたしは彼らのことは全然知らない。カートはきっと多感な青春時代をこういう変なものばかり聴いていたオタクだったのだろうなあと想像はできる。

ニルヴァーナのヴァージョンは『ライヴ・アット・レディング』に収録されている。

The Money Will Roll Right In

ワイパーズ
D-7 (1980)
Wipers – D-7

米オレゴン州出身のパンクバンド、ワイパーズが1980年にリリースした1stアルバム『イズ・ディス・リアル?』の収録曲。

ほとんど知られていないバンドだが、カート・コバーンが彼らに影響を受けたと明言したことで一気に知名度が上がった。わたしも今回初めて聴いたのだけれど、なかなかいい感じだ。若い頃に聴いたら好きになっていたに違いない。

ニルヴァーナのヴァージョンは『ライヴ・アット・レディング』に収録されている。

D-7

以上、”ニルヴァーナがカバーした曲のオリジナルを集めてみた”【全12曲】でした。

(Goro)

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