Lithium (1991)
『ネヴァーマインド』からの3rdシングル。これまた大好きな曲だ。
この曲には、カッコ良さだけではない、カッコ悪さとユーモアとせつなさと心強さを感じる。
ヴァースのメロディなんて、昭和歌謡みたいだ。たとえば甲斐バンドみたいな。
ああ、きっと甲斐よしひろがこの歌を歌ったら似合うに違いない。
カート自身の解説によれば、この歌はガールフレンドを亡くした男の歌なのだそうだ。男は自分が自殺してしまわないよう、宗教に救いを求める、という内容らしい。タイトルの「リチウム」とは、鬱病患者などに処方される薬で、気分を安定させ、自殺を防ぐ効果があるらしい。
そう言われても、正直よくわからない歌詞だ。
それでもこのメロディのせいかもしれないけど、なんとなくこの曲にはグッときてしまう。
今日はとてもハッピーだ
おれは友達を見つけたから
そいつらはおれの頭の中にいたんだ
おれは救いようのないバカだ
洗面所の鏡で自分の顔を見たとき
思わず鏡をぶん殴って壊しちまった
(written by Kurt Cobain)
ああ、思い出すなあ、あの頃のグツグツと煮えたぎるようなフラストレーションを。
わけもなくイライラして、わけもなくくよくよして。
人とに会えばもじもじして、心はいつもゆらゆらして。
この歌にはそんなフラストレーションを、木っ端微塵に吹っ飛ばすような、暴力的な爽快感があった。
今のわたしはもちろん当時とは全然違うけれども、でも完全には無くなっていないなあ、あのフラストレーションは。もう、いいおっさんのくせに。
こういうのは一生、火種みたいにチロチロと点いたままでいるのだろうか。
いやだなあ、もう。
※この記事は2017年6月に公開された記事を基に加筆・修正したものです。
(Goro)