Neil Young
Heart of Gold (1972)
1972年2月にリリースされた名盤『ハーヴェスト』の収録曲であり、シングル・カットされて全米No.1になった、ニール・ヤング最大のヒット曲だ。日本でもヒットしたので、オールド・ファンはニール・ヤングというとまずこの曲を思い出す人も多いだろう。
極めてシンプルなのに美しく、心に深く沁みる、それこそ黄金のような輝きも放っている名曲だ。
この曲はカントリーの聖地、米テネシー州ナッシュヴィルで録音されている。カントリー畑のミュージシャンで結成したザ・ストレイ・ゲーターズがバックの演奏を務めている。
コーラスに参加しているのはジェームズ・テイラーとリンダ・ロンシュタットだ。
彼らはたまたまジョニー・キャッシュのTV番組に出演するためにナッシュヴィルに滞在していたため、セッションに招かれたという。それにしてもさすがと言うべきか、バック・コーラスであってもリンダ・ロンシュタットの声は頭ひとつ抜けた存在感と輝きを放っている。
ちなみに、TV番組『ジョニー・キャッシュ・ショー』にはニール・ヤングも出演し、ジョニー・キャッシュは彼を「天才、ニール・ヤング」と紹介した。
この曲の大ヒットでいきなり世界的な有名人となったニールは、しかしすぐにその栄光のスポットライトに嫌気が差し、隠遁生活へと入った。
ニールは1977年にリリースしたベスト盤『ディケイド』のライナーノーツに、「孤独の旅路」について次のように書いている。「あの曲が私を道の真ん中に立たせた。しかし、そこを歩くのはすぐに退屈になったので、私は道の端を歩くことにした。より荒れた道だったが、そこではより興味深い人々に出会った」。
ちなみに、この曲についてニールは、ポール・モーリアでもお馴染みのフランスの名曲「恋はみずいろ」からインスピレーションを得たとも語っているが、どこがそうなのか、わたしにはよくわからない。
↓ 弾き語りによるライヴ・バージョン。シビれる。
↓ 2000年代に録音された、ジョニー・キャッシュによるカバー。ニール・ヤングとは真逆と言っていい声質で歌われるこの曲もまた味わい深い。バックバンドはレッド・ホット・チリ・ペッパーズで、ジョン・フルシアンテのギター・ソロがまたシビれる。
(Goro)