誰よりもうるせえロックンロール 〜モーターヘッド『エース・オブ・スペーズ』(1980)【最強ロック名盤500】#291

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【最強ロック名盤500】#291
Motörhead
“Ace of Spades” (1980)

わたしは数年前に2nd『オーヴァーキル』を初めて聴いてモーターヘッドに目覚めたのだけれども、4枚目のアルバムとなる本作は、さらにやかましさを増している。

やかましさといっても、旨いカレーの辛さがさらに増したようなもので、より刺激的でより病みつきになるやかましさだ。

当時はイギリスを中心に、とにかくスピードだけは速いヘヴィ・メタルが台頭してきた時期だったので、モーターヘッドも同じ括りで語られることが多かった。しかしレミー・キルミスターは「俺たちはヘヴィ・メタルじゃねえ。ロックンロール・バンドだ。誰よりもうるせえだけだ」(2002年発行の自伝)と言い放ち、ヘヴィ・メタルと一緒にされることを嫌がったという。

あたりまえだ。スピードが速いところだけは共通しているかもしれないが、ちゃんと聴けば、モーターヘッドがヘヴィ・メタルのバンドとは真逆と言っていいほどの音楽性だということがわかるはずだ。

モーターヘッドのロックンロールは、リトル・リチャードやチャック・ベリー直系の、シンプルで、野蛮で、瞬発力とリアリティのある音楽だ。一方のヘヴィ・メタルは、ファンタジー的で、テクニカルで、構築美にこだわったものだった。

モーターヘッドはどちらかというとパンクに近いと思うし、レミーもセックス・ピストルズやダムドには共感すると言っていたが、あえてパンクの看板も掲げなかった。レミーが言うには「ジャンルってのはレコード屋のためのもんだ。ロックンロールのためじゃない」からだ。

そんな彼らは、パンク勢からもメタル勢からもリスペクトされた。それはモーターヘッドの音楽がすべてのロックンロールの原点であり、真髄だったからだろう。ロックンロールの純粋結晶であり、最終形態なのだ。

本作は1980年11月にリリースされた、モーターヘッドの4枚目のアルバムだ。アルバムは全英4位の大ヒットとなった。

【オリジナルLP収録曲】

1 Ace of Spades
2 Love Me Like a Reptile
3 Shoot You in the Back
4 Live to Win
5 Fast and Loose
6 (We Are) TheRoad Crew

SIDE B

1 Fire, Fire
2 Jailbait
3 Dance
4 Bite the Bullet
5 The Chase Is Better Than the Catch
6 The Hammer

シングル・カットされ、全英15位まで上昇したA1「Ace of Spades」は「常識を捨て、ルールを破り、イチかバチかで突き進む、それがロックンロールだ」(※大意)と歌う、レミーの生き様を象徴するような代表曲だ。

ものすごいスピードは、疾走感というよりも、爆発的な推進力を感じる。車にガソリンが入ってなくても、これをカーステで再生するだけでそのまま走り出しそうなぐらいである。

ドラムを叩き壊すようなパワフルなビート、やさぐれた爆音のギター・リフ、そして歪んだベースをサイドギターのように弾いて生み出される唯一無二のグルーヴが彼らの魅力である。

↓ 全英15位のヒットでモーターヘッドの代表曲となった「Ace of Spades」。

↓ バンドの強力な推進力グルーヴが最高な「Love Me Like a Reptile」。

(Goro)

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