⭐️⭐️⭐️
Manfred Mann
“The Five Faces of Manfred Mann” (1964)
英ロンドンで結成されたバンド、マンフレッド・マンは、1962年から69年まで活動したブリティッシュ・ビート・バンドだ。
全英・全米で1位を獲得した大ヒット曲「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」が最も有名で、全英1位の「プリティ・フラミンゴ」「マイティ・クイン」など、多くのヒット曲を放ったバンドだ。
しかしわたしは上に挙げたような代表曲はあんまり好みではない。
1964年9月にリリースされたこの1stアルバムはそれらのヒット曲は収録されていない。
そしてそれらのヒット曲のポップなイメージとはまったく違う、まったく別のバンドのように、真っ黒けの激シブな世界が展開されている。
全14曲中、カバーが8曲、オリジナルが6曲という構成になっている。カッコ内はカバー元のアーティストだ。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 スモークスタック・ライトニング(ハウリン・ウルフ)
2 ドント・アスク・ミー・ホワット・アイ・セイ
3 サック・オ・ウォウ(キャノンボール・アダレイ)
4 ホワット・ユー・ゴナ・ドゥ
5 フーチー・クーチー(マディ・ウォーターズ)
6 アイム・ユア・キングピン
7 ダウン・ザ・ロード・アピース(ウィル・ブラッドリー・トリオ)
SIDE B
1 アイヴ・ガット・マイ・モジョ・ワーキング(マディ・ウォーターズ)
2 イッツ・ゴナ・ワーク・アウト・ファイン(アイク&ティナ・ターナー)
3 ミスター・アネロ
4 アンタイ・ミー (ジョー・サウス)
5 ブリング・イット・トゥ・ジェローム(ボ・ディドリー)
6 ウィザウト・ユー
7 ユーヴ・ガット・トゥ・テイク・イット
1曲目のハウリン・ウルフのカバーからいきなりシビれる。ウルフ・バンドのあのスウィングするグルーヴを再現しているのが凄い。英国白人バンドではあまり聴いたことがないぐらいの濃厚かつキレのあるブルース・フィーリングだ。
カバー曲とオリジナル曲が混ざっているのに、まったく違和感がない。
ジャケットの彼らの格好も含めて、何から何まで真っ黒けの統一感があるアルバムだ。
もちろん、ブリティッシュ・ビート・バンドらしい若々しい活きの良さみたいなものもちゃんと備わっている。オリジナル曲も、同時期のストーンズよりもよく書けているのではないかと思うほどだ。
ヴォーカルのポール・ジョーンズはもともとブライアン・ジョーンズとデュオを組んでライヴハウスに出演していた経歴を持つ。
そのブライアンが、キース・リチャーズと新しいバンドを組むからヴォーカルをやらないかと誘ったのを断ったという。これを受けていたらまた歴史はずいぶん変わっていただろうなあ。
↓ アルバム冒頭からシビれるハウリン・ウルフのカバー「スモークスタック・ライトニング」。
↓ オリジナル曲で、大ヒットシングル「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」のB面に収録された「ホワット・ユー・ゴナ・ドゥ」。
(Goro)