レーナード・スキナード/スウィート・ホーム・アラバマ (1974)【’70s Rock Masterpiece】

Sweet Home Alabama - Wikipedia

【70年代ロックの名曲】
Lynyrd Skynyrd
Sweet Home Alabama (1974)

サザン・ロックの代表格、レーナード・スキナードの代表曲だ。
1974年6月にシングル・リリースされ、全米8位と、キャリア最大のヒットとなった。

ギターが3人もいる大所帯なのに、タイトでカッコいいサウンドとキャッチーなメロディはそれだけでもヒットして当然だが、当時の人気アーティストだったニール・ヤングの実名を出しておちょくった歌詞がさらに話題になったようだ。

発端はニール・ヤングが彼の「サザン・マン」や「アラバマ」などの曲で、人種差別的傾向が強かった南部の土地柄を激しい表現で批判したことから始まる。

それに応えたアンサー・ソングとして、レーナード・スキナードがこの「スウィート・ホーム・アラバマ」を発表する。ちなみに彼らはアラバマ出身ではなくフロリダの出身だが、南部の代表として抗議しているのだろう。

ニール・ヤングがアラバマのことを歌にして
ボロクソ言ってるのを聴いたよ
だけどヤツには教えてやりたいね
南部の人間にとっては
お前なんかいなくても痛くも痒くもないんだって
(written by Ed King, Gary Rossington, Ronnie Van Zant)

なかなかの喧嘩腰である。

なのでわたしは長年、ニール・ヤングとレーナード・スキナードは犬猿の仲なのだろうと勝手に思い込んでいたのだが、どうやらそうでもないらしい。

ニールは後年、自伝に以下のように書いている。

「アラバマ」という曲は、「悪いのはお前たちだ」とえらそうに非難するだけの考えの足りない歌詞で、レーナードの糾弾を受けるのも当然の内容だ。今では到底好きになれない。
(『ニール・ヤング自伝』ニール・ヤング著 奥田祐士訳)

そのうえ、ニールは彼らの音楽を非常にリスペクトしており、「スウィート・ホーム・アラバマ」もライヴで何度か演奏して大ウケしたという話も書かれている。

レーナードのメンバーも実はニール・ヤングの音楽が好きだったらしい。
下の動画ではヴォーカルのロニー・ヴァン・ザントがニール・ヤングのTシャツを着て歌っている。

わたしは若い頃からニール・ヤングのファンだけれども、しかしこの場合は「木を見て森が全部その木だけと思い込む」典型的な若気の至りと言う他ない。レーナードの大らかさに救われた思いだ。

まあ、レーナードにとってもキャリア最大のヒットになったわけなので、ニール・ヤング様様ということもあるだろうけれども。

しかしこの曲のヒットから3年後、レーナード・スキナードは、その絶頂期に突然悲劇に見舞われる。

1977年10月20日、彼らがチャーターした旅客機が、ルイジアナ州バトンルージュへ向かう途中で燃料切れとなり、ミシシッピ州ギルズバーグ近郊の森林地帯に墜落した。

この事故で6名が死亡、20名が生き残ったが、死亡した6名は機長と一等航海士、ロードマネージャーの他に、バンドのヴォーカリストであるロニー・ヴァン・ザント、ギタリストのスティーヴ・ゲインズ、バック・ヴォーカルのキャシー・ゲインズが含まれていた。この突然の悲劇により、バンドは活動を停止する。

しかし不屈の南部魂はその10年後の1987年、事故死したロニー・ヴァン・ザントの弟であるジョニーをヴォーカリストとして迎え、レーナード・スキナードを再結成し、ファンを大いに喜ばせた。

それから38年、オリジナル・メンバーはすでに全員この世を去ってしまったが、バンドは現在も元気に活動中である。

(Goro)