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【映画】『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(2014米)
“Love & Mercy”
監督:ビル・ボーラッド
主演:ジョン・キューザック、ポール・ダノ
音楽:アッティカス・ロス
ビーチ・ボーイズの数々の名曲を書いたバンドの中心人物、ブライアン・ウィルソンの60年代の活躍と、絶頂期での精神の崩壊、その後の人生を描いた物語。
60年代アメリカン・ポップスのトップランナーのビーチ・ボーイズだったが、ブライアン・ウィルソンは体調の悪さを理由にコンサートツアーには参加しなくなり、1人スタジオにこもって実験的なアルバムを作るようになる。
そうしてできた『ペット・サウンズ』は、それまでの路線と違い過ぎたことから、メンバーに受け入れられず、ブライアンは孤立する。そしてますます彼はドラッグに頼るようになり、精神に異常をきたし、第一線から退いていくことになる。
80年代には悪徳医師にカモにされて薬漬けにされ、不正に搾取されることに。
命だけは落とさずに済んだから良かったものの、こんな状況で生き延びたのが奇跡と思えるほどだ。
ロックの歴史に大きな影響を与えた名曲の数々を生んだ天才が、これほど不遇な半生を送らなければならなかったことに憤りを通り越して、泣けてくる。
しかしあの名盤『ペット・サウンズ』の録音風景は興味深かった。天才なのか狂人なのかわからない発想であの名作を創り上げていく過程が面白い。
わたしは正直、音楽伝記映画では、恋愛沙汰もドラッグも奇行のエピソードもどうでもいいので、作品を創っていく過程を再現したものを観たいと常々思っているのだ。
残念ながら、そんな映画は滅多になくて、だいたいが女子とのイチャイチャや痴話喧嘩みたいなことばかりを熱心に描くものである。
それ、興味ないわぁ。
(Goro)