Los Lobos
La Bamba (1987)
リッチー・ヴァレンスの生涯を描いた1987年のアメリカ映画『ラ・バンバ』の主題歌に使われた、ロス・ロボスによるカバーだ。
リッチー・ヴァレンスとは、1958年にデビューして「カモン・レッツゴー」「ドナ」の2枚のヒットシングルだけを遺し、17歳で急逝したロックンロール・スターだ。
「ラ・バンバ」はメキシコ民謡をロックンロールにアレンジした名曲で、「ドナ」のB面に収録された。
映画のリッチー・ヴァレンス役はルー・ダイアモンド・フィリップスだが、そのサウンドトラックとして歌と演奏を担当したのが、ヴァレンスと同じメキシコ系アメリカ人のグループ、ロス・ロボスである。
映画も素晴らしかったが、ロス・ロボスの演奏もまた素晴らしく、映画のクオリティを大いに高める貢献をしている。オリジナルに忠実でありながら、オリジナル以上の輝きを放っている。
ロック・ミュージシャンの生涯を描いた映画はたくさんあるけど、これはその中でもトップクラスに印象深い映画だ。
ドン・マクリーンが「アメリカン・パイ」で”音楽が死んだ日”と歌った、1959年2月3日のあの悲劇を知ったのもこの映画でだった。
わたしはこの映画の日本公開当時、地元の映画館で働いていたので、そのシーンを映写室の窓から何度も見ることになった。
ライブ終演後、リッチー・ヴァレンスとバディ・ホリー、ビッグ・ボッパーの3人がツアーの次の目的地へと向かう飛行機に乗りこむが、リッチー・ヴァレンスはすごく怖がっている。暴風雨が吹き荒れる、ひどい悪天候だからだ。
そのリッチーの恐怖を和らげようと、バディ・ホリーが前の座席から振り向いて言うのだ。
「なあリッチー、スターには大空が家みたいなもんだろ?」。飛行機は暴風雨の中へと飛び立ち、そのまま3人は還らぬ人となったのだ。
何度見ても泣けるシーンだった。このMVにもそのシーンがチラッとだけ出てくる。
また泣きそうになってしまった。
↓ リッチー・ヴァレンスのオリジナル。
(Goro)