Leonard Cohen
Bird on the Wire (1969)
1969年3月にリリースされたレナード・コーエンの2ndアルバム『ソングス・フォー・ア・ルーム』からのシングル。
「電線の上の鳥のように、真夜中に大合唱する酔っぱらいたちのように、わたしは自由になる方法を探したんだ」と歌う、コーエンの代表曲のひとつだ。
ときには電線の上の鳥のように、超然と下界を見下ろして人々の営みを眺め、気が向いたら大空へ羽ばたく。またあるときは人の迷惑も省みず、地を転げまわりながら酔っ払い、大声で歌って恥をさらす、そんな自由な人間でありたい、というイメージでわたしは聴く。
あるいは、「ときには孤独を楽しみ、ときには仲間たちと心を開いて、気ままに生きていたい」というふうにも取れる。
まあ、歌詞なんて人それぞれどんな解釈で聴いても良いし、どんな形であってもその人の心に突き刺さればそれでいいのだ。
様々なイメージが浮かび、人によってさまざまな解釈が生まれる詩というのが本当に良い詩なのだろうとわたしは思っている。
この曲は多くのアーティストにカバーされている。
有名なもののひとつには、メル・ギブソンとゴールディ・ホーン主演によるアメリカ映画『バード・オン・ワイヤー』(1990) の挿入歌として使用されたネヴィル・ブラザーズのカバーがあるが、一聴しただけではとても同じ曲とは思えない。
晩年のジョニー・キャッシュの渋いカバーは断然リアリティがある。彼がレナード・コーエンをカバーしたのはこの1曲だけだ。
きっとキャッシュさんなんかはこの詩に共感するものが大いにあったのだろうと思う。
↓ ネヴィル・ブラザーズの1990年のアルバム『ブラザーズ・キーパー』に収録されたカバー。
↓ ジョニー・キャッシュによるカバー。
(Goro)