無表情なのにどこかカワイイ♡エレクトロ・ミュージックの金字塔 〜『人間解体』(1978)【最強ロック名盤500】#260

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【最強ロック名盤500】#260
Kraftwerk
“The Man-Machine” (1978)

クラフトワークは1971年にデビューしたドイツの電子音楽グループだ。

シンセサイザーや電子ドラム、ヴォコーダーなど使った彼らの音楽は未来的で、ミニマル的で、無機的で、虚無的で、シニカルで、シンプル。なのにどこかメロディアスで親しみやすい。

もみあげを剃り落とすテクノ・カットも含めて、Y.M.O.がお手本にしたテクノ・ポップの大師匠であり、テクノ、シンセ・ポップ、クラブ・ミュージック、ヒップホップ、さらには現代のエレクトロニカにまで、世界中に絶大な影響を与えた。その意味でクラフトワークのポップ・ミュージックへの影響力はビートルズやボブ・ディラン、ジェームス・ブラウンにも匹敵するものだ。

本作はクラフトワークの7枚目のアルバムで、1978年5月にリリースされた。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ザ・ロボッツ
2 スペースラボ
3 メトロポリス

SIDE B

1 ザ・モデル
2 ネオン・ライツ
3 ザ・マン・マシーン

以前のアルバムでは、どちらかというとプログレ的だったり、アート・ロック風だったりと、なんとなく生真面目で思想の強そうな近寄りにくさや、とっつきにくさを感じたりもしたものだが、本作はグッと親しみやすい雰囲気になって、なんなら「カワイイ♡」とすら感じる。

「ザ・ロボッツ」や「ザ・マン・マシーン」なんて、現代社会における非人性みたいなものを批判しているのかもしれないけれども、しかし聴きながら思い浮かべてしまうのは、ロボコンやC3POみたいな、妙に人間くさいロボットなのだ。

難しい顔をした四人の大人が、寄ってたかって深い知識や高い技術を駆使して出来上がったのがこんな奇妙な音の、シンプル極まりないユーモラスな音楽というのがまるで、えらく手の込んだ冗談のようだ。

ディスコ・ビートに寄せたようなB1「ザ・モデル」はシングル・カットされ、本国ドイツで7位、そしてイギリスでは1位を獲得するヒットとなった。見た目はまるで公認会計士のような彼らが、真面目な顔でちょっとだけ腰をクネクネさせているような、お茶目な曲だ。

それにしてもアナログシンセ、良い音してるなあ。

今聴いても鮮烈な音だ。

↓ 全英1位のヒットとなった代表曲「ザ・モデル」。ファッション業界をクールに風刺したエレポップだ。

↓ オープニング・トラックの「ザ・ロボッツ」。機械的なビートに乗せて「われわれはロボットである」と歌う。無機的なのに妙に中毒性がある。

(Goro)

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