Kiss
I Was Made For Lovin’ You (1979)
この曲は当時、日本でも大ヒットしていて、中学1年生のわたしの耳にも届いた。カッコいい曲だなあと思ったし、あの悪魔超人みたいな姿にもときめかないわけがなかった。
ハード・ロック・バンドのキッスがディスコ・ビートなんぞを、と当時の大人のファンの人たちは思っていたらしいのだけれども、詳しいことを知らない中学1年生にはそんな感情は生まれず、サビの部分をハミングしながら、洋楽のしかもハード・ロックの曲をカッコいいと感じている自分を、なんだか少し大人になったような、誇らしいような気分になって、一人悦に入っていたのだった。
そして結果的にこの「ラヴィン・ユー・ベイビー」は、キッスの全キャリアで最も売れたシングルになり、彼らの代表曲となった。
ただし、このあたりをピークに80年代はキッスの低迷が始まる。
この曲のせいというわけでもないのかもしれないが、ディスコ・ビートの導入は劇的な効果をもたらすけれども、副作用もまた強い劇薬だったのかもしれない。
キッスにとってこの曲はどういうものだったのだろう。
売れて万々歳だったのか、それとも黒歴史と恥じているのか。
黒歴史だとしたら今はもう演奏はしていないかもと思い、直近のライヴのセット・リストを調べてみた。
2023年2月のN.Y.マジソン・スクエア・ガーデンでのライヴのセット・リストである。
Detroit Rock City
Shout It Out Loud
Deuce
War Machine
Heaven’s on Fire
I Love It Loud
Say Yeah
Cold Gin
Lick It Up
Calling Dr. Love
Makin’ Love
Psycho Circus
100,000 Years
God of Thunder
Love Gun
I Was Made for Lovin’ You
Black Diamond
アンコール
Beth
Do You Love Me
Rock and Roll All Nite
ライヴ終盤のクライマックスで披露される、めちゃくちゃ代表曲の扱いだった。
全然、黒歴史なんかじゃなかった。
よかった、よかった。
(Goro)