ケイト・ブッシュ/嵐が丘 (1978)

Wuthering Heights (song) - Wikipedia

【70年代ロックの名曲】
Kate Bush
Wuthering Heights (1978)

明石家さんまMCの、世にもくだらないバラエティ番組『恋のから騒ぎ』のオープニングに使われたおかげで、この曲の最初の10秒は40歳以上の日本人ならたいていの人が知っているぐらい有名だ。

英イングランド出身のケイト・ブッシュは自作のこの曲をデモテープに録り、自らレコード会社に売り込んだものの相手にもされなかった。しかしたまたまデモテープを聴いたデヴィッド・ギルモア (ピンク・フロイドのギタリスト) に見出され、1978年に19歳でこの曲でデビューする。そしていきなり全英No.1となる大ヒットとなった。

彼女はこの曲を、エミリー・ブロンテ原作の『嵐が丘』を映像化したTVドラマを見ながら書いたそうだ。

十代でこんな独創的な曲を書いたなんて、やはり大した才能だ。この独特の歌唱も相まって、一度聴いたら忘れられない名曲になった。

わたしも若い頃にこの『嵐が丘』を読んだことを憶えている。異様にパワフルで怒涛のような勢いの、恐るべき傑作だった。

主人公のキャサリンとその親族たちに裏切られた孤児、ヒースクリフのメラメラと燃え盛るような怨念のパワーと、発狂者が続出する凄絶な復讐地獄が圧巻だ。今でも忘れられない。

この曲のサビは、キャシーがそのヒースクリフに呼びかける歌詞だけれども、その後の展開を思って背筋がゾクゾクしてしまうほどだ。

キャサリンは、ヒースクリフの復讐によって発狂し、お腹の中に赤ん坊を残したまま死んでしまうのである。

そしてヒースクリフの復讐の矛先はその赤ん坊にも及び、キャサリンのありとあらゆる親族にも及んでいくのである。

ああ怖い。

(Goro)