The Jimi Hendrix Experience
All Along the Watchtower (1968)
原曲はボブ・ディランで、1967年のアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング』に収録されている。原曲の邦題は「見張り塔からずっと」だが、ジミヘンのほうの邦題は「ウォッチタワー」となっている。
ジミヘンのバージョンは1968年9月にシングルとしてリリースされ、全米20位、全英5位と、彼にとってのシングルチャート最高位を記録した。1ヶ月後にリリースされた3rdアルバム『エレクトリック・レディランド』にも収録され、アルバムのハイライトとなっている。
ディランの原曲をカバーが超えてしまうことはめずらしくもないが(失礼)、それにしても68年でこのアレンジは凄い。ジミ・ヘンドリックスという怪物は、ロックを一気に進化させた、突然変異種のようなものだったのだろう。
ディランもこのカバーを絶賛し、「この曲の権利の半分ぐらいはヘンドリックスのもの。あれが完成版だ」と語ったという。
確かに、その後この曲をカバーしたアーティストたち、ニール・ヤングにしても、U2にしても、だいたいジミヘンのバージョンを手本にしている。
ディラン自身も、74年のザ・バンドとのライヴ盤『偉大なる復活』では、自身の原曲より完全にジミヘンのほうに寄せたアレンジで演奏しているほどだ。
ただ、ジミヘン版ももちろん良いが、わたしはディランの原曲のあのシンプルなアレンジも、あれはあれでめちゃカッコいいと思っている。これはもっと言っていかんといかんなとも思っている。
たった3つのコードのアコギとハーモニカによる、2分半の鮮烈なロックンロールだ。
キレのあるアコギに、ディランのクールなヴォーカルがいつにも増してカッコいいのだ。
↓ ボブ・ディランのオリジナル。
(Goro)