【70年代ロックの名曲】
Janis Joplin
Me and Bobby McGee (1971)
アウトロー・カントリー系のシンガー・ソングライター、クリス・クリストファーソンが書いたこの曲は、カントリー・シンガーのロジャー・ミラーが1969年に録音したのが最初だ。
その後、クリストファーソンも自ら歌って自身の1stアルバムに収録し、翌年にジャニスがカバーした。
さすがはジャニス、完全に自分のものにしてしまっている。
ジャニスが歌ったら誰もかなわないなあ、などとあらためて思う。
「自由だということは失うものが何も残っていないということ」というフレーズは、クリストファーソンが歌うと絶望的に哀しく胸に迫るものがあるけど、ジャニスが歌うとまるでそれが待ち望んでいた真の幸福のように、穏やかな喜びと希望に満ち溢れているかのように聴こえる。
1970年10月4日、L.A.でアルバムをレコーディング中だったジャニスは、宿泊していたホテルの部屋でアルコールとヘロインを過剰摂取して死亡しているところをマネージャーに発見された。死後18時間が経っており、手には小銭が握りしめられていた。
クリストファーソンはジャニスのスタジオに遺された「ミー・アンド・ボビー・マギー」のテープを聴いて、こう言ったそうだ。
「ジャニスのために書いたわけじゃないのに、ジャニスのことのようだ」
この曲はジャニスの死後にリリースされたアルバム『パール』に収録され、シングル・カットされると、全米1位に輝いた。ジャニスのシングルが大ヒットしたのは、これが最初で最後だった。
シャウトしまくるド迫力のジャニスもいいけど、こんなふうにカントリー・ソングをナチュラルに歌うジャニスもとてもいい。
もっとたくさんジャニス流のカントリー・ソングを聴いてみたかったな。
↓ カントリー歌手ロジャー・ミラーが1969年に録音したバージョン。
↓ 作者のクリス・クリストファーソンの1stアルバム『クリストファーソン』に収録されたバージョン。
(Goro)