James
Sit down (1989)
同郷の先輩、ザ・スミスと同じようなネーミングセンスのジェイムスもまた、マンチェスターで結成されたグループだ。86年にインディ系のファクトリー・レコードからデビューした。
いわゆる”マッドチェスター”ムーヴメントはその3年後のストーン・ローゼスのブレイクによって世界的な注目を浴びるようになるが、そんな華のある後輩たちのおかげで、やや地味目の先輩だったジェイムスも突然脚光を浴びることになった。
発表当時は鳴かず飛ばずだった「シット・ダウン」を91年に再発してみると、ムーヴメントの勢いにうまく乗り、全英2位の大ヒットとなった。
そもそもロックというものは「Stand Up!」(立ち上がれ!)という精神性の音楽だと思うのだけれども、「Sit Down!」(まあ落ち着けよ、とりあえず座れって)と歌ったのはそれはそれで画期的だと思う。いかにもジェイムスらしい。
ダンスのグルーヴを取り入れたロックとして人気を集めたマッドチェスターのブームは一瞬で終わったものの、その後もジェイムスは人気を維持し、98年発売のベスト盤では初の全英1位も獲得した。「シット・ダウン」は、イギリスでは国民的なロック・アンセムとして定着しているそうだ。
2001年に一度解散したものの、2007年に再結成、2014年には13枚目のアルバムを発表するなど、彼ららしくマイペースに活動を続けている。
(Goro)