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“Honkytonk Man”
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド、カイル・イーストウッド
音楽:スティーヴ・ドーフ
1930年代と思われる時代、やさぐれたカントリー歌手レッド(クリント・イーストウッド)がナッシュヴィルの有名なラジオ番組「グランド・オール・オープリー」のオーディションに出場するために16歳の甥ホイット(カイル・イーストウッド)を連れて旅をするロード・ムービー。
文無し旅なので、道中の酒場でレッドが歌って稼いだり、2人で鶏小屋に忍び込んで逮捕されたり、脱獄したり、保険金詐欺をやろうとして失敗したりと、悪行三昧の旅をする。
厳しい家庭で真面目に育ってきたホイットは、自身とは真逆の破天荒な性格の伯父レッドを慕って、ギターを教わったり、一緒に作詞をしたり、マリファナの味を覚えたり、無免許で車を運転させられたり、筆おろしをさせられたりする。
これを演じているのがクリント・イーストウッドの実の息子だというところがまた凄い。監督である父親が、当時14歳の息子に、車を運転させたり、マリファナでラリったり、売春宿で筆おろしをする演技をさせているわけだからだ。
「コンプライアンス」が映画の内容にまで及ぶような、「フィクション」が撲殺されつつある今の時代から見ると、昔は良かったなあ、と思わずにいられない。
レッドはなんとかナッシュヴィルに着くものの、持病の結核が悪化し、医師からは歌うのを止められる。最後のほうはもう、号泣必至である。
クリント・イーストウッド作品は傑作ばかりだけれども、この映画はちょっと壊れたところもありながらも、心に深く残る名品だ。
イーストウッドの、独特の温かみのある優しい歌声も味わいがある。
ちなみに、息子のカイルは現在51歳。
ベーシストで、ジャズ・ミュージシャンとして活躍している。
(Goro)