1957
1957年、この年コカ・コーラが発売された日本でも、ロカビリー・ブームが巻き起こり、それまでジャズ喫茶だった店が次々とロカビリー喫茶に衣替えしたという。ロックンロールは世界中の若者の心を捉え、社会現象となるほど過熱した。
そして、天才メガネ君が登場する。
彼はそれまでのロックンロール・スターとは見た目も方向性も、ひと味もふた味も違った。
ヴォーカル、エレキギター、ベース、ドラムスという、現在まで続くロックバンドの基本形態となった編成は、彼らが創ったスタイルである。
現在でもその編成でバンドをやっている若者たちは、少なくとも彼ら、バディ・ホリー&ザ・クリケッツの名前ぐらいは憶えておいたほうがいいだろう。
以下は、そんな1957年を象徴する名曲10選です。
Chuck Berry – Rock And Roll Music
その名も「ロックンロール・ミュージック」という、この時代の記念碑のような曲。全米8位のヒットとなった。
それにしても無理のない、流れるようなメロディだ。土を削りながら自然に川の流れが生まれるように、なんだか人の手による細工を感じられない、このまま自然界に存在していたかのような、奇跡的なほどピュアな音楽だ。まさにロックンロールの原点。
Elvis Presley – Jailhouse Rock
デビュー2年目にして3本目(!)の主演映画『監獄ロック』の主題歌として発表された曲。全米1位、全英1位の大ヒットとなった。
この緊張感溢れるカッコいいイントロを聴くとわたしは背筋がシャンとする気分になる。
バックの演奏も素晴らしい。
Jerry Lee Lewis – Great Balls Of Fire
メジャー移籍したエルヴィスと入れ替わりのようにサン・レコードからデビューした、演奏スタイルもプライベートも破天荒でワイルドな「ヤバい奴」ジェリー・リー・ルイスの代表曲。全米2位の大ヒットとなった。
ピアノを叩き壊すぐらいの勢いで弾くパフォーマンスは熱狂的な人気を博し、あまりの衝撃に尾ひれがついたのか「ピアノを燃やしながら演奏した」と伝えられることもあった(本当はしていない)。
下の動画の映像の綺麗さには驚いたが、ここでのパフォーマンスはだいぶ大人しいほうだ。
Buddy Holly and The Crickets – That’ll Be The Day
バディ・ホリー&ザ・クリケッツにとって唯一の全米1位となった代表曲。彼ららしいシンプルで魅力的な曲だ。ポップだけど甘すぎず、肩の力の抜けた感じがまた良い。この古い動画ではわからないけれど、オリジナルを聴くと間奏のギターなんて煌めくような素晴らしい音がしているのだ。
Buddy Holly & The Crickets – Oh boy!
バディ・ホリーは、生まれたばかりのロックンロールの成長に大きく貢献した天才肌のアーティストだ。ほとんど3コードしか使わずに、様々な独創的なアイデアと実験でバラエティに富んだ曲作りをした。この曲はテンポが速くてエッジの効いた、実にカッコいい名曲だ。全米8位、全英3位のヒットとなった。
Eddie Cochran – Twenty Flight Rock
バンド活動をしていたもののまだ当時は無名だったエディ・コクランは、この年公開のアメリカ映画『女はそれを我慢できない』の劇中で、この曲をテレビで歌う役に抜擢され、それがきっかけでソロ・デビューすることになった。当時たったの17歳である。その出演シーンが以下の動画だ。
The Everly Brothers – Wake Up Little Susie
カントリー・ミュージシャンの父親を持つ彼らは、カントリー側からロックンロールへの接近を試みたデュオだった。
ポップなメロディと乾いたアコースティック・サウンド、そしてカントリー・スタイルの清々しいコーラスが武器のデュオだ。
映画を観に行った高校生のカップルが、映画を観ながらつい眠ってしまい、目覚めたときには午前3時、とっくに門限を過ぎてしまっていて、やっべえ、どうしよう、と慌てるという可愛らしい歌詞だ。全米1位、全英2位の大ヒットに。
Little Richard – Lucille
初期の大はしゃぎの代表曲の数々に比べると、テンポをグッと落としたエイトビートになり、重いベースとドラム、クールなサックスのリフによる、バンドのグルーヴがカッコいい。
リトル・リチャードのイカれたヴォーカルはいつものように音が割れるほどの大迫力。一度でいいから生で聴いてみたかった。
Sam Cooke – You Send Me
一度聴いたら忘れられない素晴らしい声と、並外れたソングライターの才能を併せ持った稀有のアーティスト、サム・クックのデビュー・シングルだ。全米1位の大ヒットとなった。
彼の登場によって生まれたのが”サザン・ソウル”または”ディープ・ソウル”と呼ばれる、米南部生まれのゴスペルやブルースを基調としたソウル・ミュージックであり、ロックにも大きな影響を与えた。
Paul Anka – Diana
当時たった16歳だったポール・アンカは、自作のこの曲でデビューし、いきなり全米1位となった。それにしてもこの時代、十代の天才がやたらといるな。
ロックンロールに影響を受けた新時代の”ゴールデン・ポップス”と言うべきこの曲は世界中で大ヒットし、日本では山下敬二郎が日本語でカバーしてこれも大ヒットした。
どこまでものぼりつめていくような歌メロが何度聴いてもゾクゾクする。
選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。
♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 1957【天才メガネ君現る!の巻】Greatest 10 Songs
ぜひお楽しみください。
(by goro)