
⭐️⭐️⭐️
Foo Fighters
“The Colour and the Shape” (1997)
フー・ファイターズの1stアルバムは、デイヴ・グロールが多重録音ですべての楽器を一人で演奏して制作したデモテープをそのままCDにしたものだったが、この2ndアルバムはデビュー後に集められたバンドのメンバーによってレコーディングされた初めてのアルバムとなった。
しかしそこで問題が発生した。
ドラマーのウィリアム・ゴールドスミスが叩いたドラムに満足できず、ウィリアムにはそのことを言わずにデイヴ・グロールがほぼすべての曲を自分で叩き直したのだ。後でそれを知ったウィリアムは「裏切られた」と憤慨し、バンドを脱退してしまった。
それについてデイヴ・グロールは、ドキュメンタリー・フィルム『Back and Forth』の中で次のように語っている。「ウィリアムは素晴らしいドラマーだが、僕が頭の中で鳴らしていたパワフルな音とは違ったんだ。でも、あのやり方は後悔している」。
そうだろうなあ、と思う。デイヴ・グロールのあのパワフルなドラムと同等のプレイができるドラマーなんて滅多にいないだろうと思う。最高のドラマーだからこその悩みだ。
本作はフー・ファイターズの2ndアルバムとして1997年5月にリリースされた。カッコ内は米オルタナ・チャートの順位。
【オリジナルCD収録曲】
1 ドール
2 モンキー・レンチ(9位)
3 ヘイ,ジョニー・パーク!
4 マイ・プアー・ブレイン
5 ワインド・アップ
6 アップ・イン・アームス
7 マイ・ヒーロー(6位)
8 シー・ユー
9 イナフ・スペース
10 フェブラリー・スターズ
11 エヴァーロング(3位)
12 ウォーキング・アフター・ユー
13 ニュー・ウェイ・ホーム
1stと比べるとよりハードなロック・サウンドに移行したものの、ポップな歌メロは相変わらずで、フー・ファイターズのスタイルを確立したアルバムと言えるだろう。
アルバムからは3曲のヒット・シングルが生まれ、アルバムも全米10位、全英3位、300万枚を超える大ヒットとなった。
ウィリアムがバンドを脱退し、新たなドラマーを探していたデイヴは、アラニス・モリセットとのツアー中に、彼女のバックでドラムを叩いていたテイラー・ホーキンスに「誰かバンドに参加してくれそうなドラマーを知らないか」と尋ねると、テイラーは、自分が参加したいと申し出たという。
テイラーはデイヴと同じく、ドラマーとしてだけではなく自分で曲を書いて歌うことも目指していたマルチプレイヤーで、フー・ファイターズでもドラム以外に、ヴォーカル、ギター、ピアノを務めている。どこかデイヴ・グロールと似通った資質を持ったミュージシャンであり、もともと共鳴する部分があったのだろう。
デイヴ・グロールは自伝『THE STORYTELLER』の中でテイラーについて「兄弟であり、親友であり、彼のためなら弾丸を受けてもいい」と書いているほどに、彼を心から信頼し、愛していた。
その後テイラーは、フー・ファイターズの8枚のアルバムに参加したが、2022年3月25日、コロムビアの首都ボゴタのホテルで胸の痛みを訴え、救急隊が呼ばれて心配蘇生を試みたが及ばず、急逝した。死因は明らかにされていないが、体内からは10種類の薬物が検出されたと発表されている。享年50歳だった。
↓ 米オルタナ・チャート9位のヒットとなったリード・シングル「モンキー・レンチ」。
↓ 米オルタナ・チャート3位のヒットとなり、フー・ファイターズの代表曲として知られる「エヴァーロング」。
(Goro)