Fleetwood Mac
Dreams (1977)
フリートウッド・マックというと、わたしは60年代の「ブラック・マジック・ウーマン」や「アルバトロス」などのブルース・ロックを先に聴いていたので、この曲を聴いたときは同じバンドとはとても思えず、戸惑ったものだ。
メンバー・チェンジするバンドは別に珍しくないけれども、フリートウッド・マックの場合、フロントマンや中心メンバーがどんどん変わるので、音楽性もがらりと変わってしまう。もちろんその変化には商業的な戦略も多分に含まれているのだろうけれども。
1974年に、当時のフロントマンだったボブ・ウェルチが脱退すると、バンドはアメリカ人の男女デュオ「バッキンガム・ニックス」のリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスをメンバーに迎え入れる。彼らは恋人同士でもあった。
彼らの加入はフリートウッド・マックをAOR風のポップスに路線変更させると共に、とてつもない商業的成功をもたらした。この「ドリームス」が収録されたアルバム『噂』は31週連続全米No.1という快挙を成し遂げ、1,700万枚以上という史上空前のセールスを記録する。さらにはグラミー賞の最優秀アルバム賞も受賞するなど、結果的に路線変更は大成功を収めたのだった。
「ドリームス」はシングル・カットされ、全米1位のヒットとなった。アルバムのメガ・ヒットはこの曲に牽引されたと言っても過言ではないだろう。スティーヴィー・ニックスという、気だるそうなバカっぽい声(良い意味で)で歌う美しい女性ヴォーカルと、浮遊感のあるシンプルなサウンドの組み合わせがとてもいい。80年代ポップスの先駆けみたいにも聴こえる。
当時のゴリゴリの男社会のロック業界の中で女性は貴重な存在であり、特に美女不足は深刻であったこともあって、当時のロック・リスナーの男たちの多くがこのスティーヴィー・ニックスにメロメロになっていたと思われる。わたしもまあ、男の端くれではあるので、もちろん嫌いではない。
ここまで変わるともはやフリートウッド・マックじゃなくてもよさそうなものだけれども、まあべつに初期の音楽性を守り通さなければならないという法があるわけでもなし、同じ看板で新事業をするバンドがあったっていいのだろう。
↓ 無表情でダルそうに歌うのがまた印象的だったスティーヴィー・ニックスだが、この当時ちようど、向かって右隣でギターを弾く白ずくめのリンジー・バッキンガムと別れたばかりだったそうだ。きっとほんとうにダルかったのだろう。
(Goro)