Dr. John
Right Place Wrong Time (1973)
米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のドクター・ジョンは、1967年にデビューした。ドクター・ジョンという名は、19世紀のニューオーリンズに実在したブードゥー教の司祭の名前から取ったらしい。
元々はギタリストとして活動していたそうだが、1961年に友人をかばって左手に銃弾を浴び、薬指が動かなくなったことでピアニストに転向したという。伝記映画のオープニングにぴったりのドラマチックなエピソードだが、きっとピアノもそのせいで独特の弾き方になるんだろうな。
Dr. John
ニューオーリンズはジャズが誕生した街として知られる。
ポップス畑ではファッツ・ドミノがニューオーリンズのゴッドファーザーとして知られるが、このドクター・ジョンは言わばそのニューオーリンズの特産品を使い、濃厚なR&B煮込みにブードゥーの呪いで味を調えた、好事家にはたまらない独特のニューオーリンズ・ロックを確立した。
この曲は1973年2月にリリースされた彼の6作目のアルバム『イン・ザ・ライト・プレイス』からシングル・カットされ、全米9位の大ヒットとなった。これが彼の最大のヒット曲である。
同じニューオーリンズ出身のミーターズがリズム・セクションで参加していることもあり、ファンク色が濃いものになっている。プロデューサーはアラン・トゥーサンだ。
ドクター・ジョンは2019年6月6日に心臓発作を起こし、この世での77年の旅を終えて去っていった。
わたしは彼の音楽を多く聴いたわけではないけれども、ロックを聴きながらもっとディープなものを、さらにディープなものを、と求め続けると、深く昏いロックの森の奥で、この呪術師の奏でるやけに楽し気な音楽に出会うのである。
平凡な毎日に飽き飽きしたら、ぜひ一度旅してみることをお薦めする。
(Goro)