追悼 デヴィッド・ボウイ

Changestwobowie
デヴィッド・ボウイは芸術面と商業面で成功を両立させた、真に革命的な、唯一無二のロック・アーティストだった。

妖しげなエロティックな香りを相当ハードにふりまきながらもインテリで、極上のポップセンスを持ちながらも異様にぶっ飛んだ発想でアンダーグラウンド・シーンからもリスペクトされる、とにかくなんでもアリ、どこまでいくのかわからないような「危険人物」の雰囲気を生涯持ち続けた稀有のアーティストだった。

わたしが最もよく聞いたアルバムもご多分に漏れず1972年の『ジギー・スターダスト』だった。このアルバムには特別な魔力がある。
わかりやすいポップ・ミュージックでありながら、それこそ火星にたった独りで取り残されたような絶望的な寂しさと哀愁が漂う。特に孤独な若者にとってははまりやすく、特別な愛着や思い入れを持ちやすい。アナログ・レコードなら部屋の壁に掛けたくなるほど、ジャケットも素敵だ。

このアルバムはドライブに持っていったり、iPhoneに入れて持ち歩くのは似合わない。深夜に部屋で独りでヘッドホンで聴くのが正しい聴きかただと思う。

他にも、『ダイヤモンドの犬』『ハンキー・ドリー』『ヒーローズ』『アラジン・セイン』など素晴らしいアルバムがたくさんあるし、90年代に組んだティン・マシーンというバンドも忘れられない。イギー・ポップをプロデュースして復活させてくれたことも感謝に堪えない。追悼しながらすべて聴き終わるには何日かかかりそうだ。

デヴィッド・ボウイもまた、その素晴らしい音楽によってこの地球を少し住みやすくしてくれた、われわれ(一部の)地球人にとっての恩人だ。
彼が今日この世からいなくなったことは寂しいけれども、同時代に彼がこの世に存在して音楽を遺してくれた奇跡を心から喜びたいと思う。

David Bowie – Ziggy Stardust – live 1972 (rare footage / 2016 edit)