
【90年代ロックの快楽】
Curve
Fait Accompli (1992)
Curve
Fait Accompli (1992)
90年代初頭のイギリスは、ハウス風のダンス・ビートや打ち込みのデジタル・ロック、そしてシューゲイザー的な轟音ギター・ロックなんかが大流行だったけれども、このカーヴは、それらを全部合わせたような良いとこ取りだった。
また、当時は女子ヴォーカルも流行っていたので、カーヴはその波にも乗り、1stアルバム『二重人格(doppelganger)』は全英11位、このシングルも全英22位まで上昇した。
そう思うと、こういうのもなんだか「産業ロック」のひとつに思えてくるな。
いや、でもわたしは決して「産業ロック」をネガティヴな意味で使っていませんから。
ひとりよがりの自己満足ロックではなく、ビジネスとしてちゃんと成立させる、社会的に自立したロックを生産するのもまた、才能である。才能ある社会人である。
カーヴはヴォーカルのトニ・ハリディと、それ以外のすべてを担当するディーン・ガルシアの2人のコンビである。コンビとは言わないか? デュオか?
ディーン・ガルシアは元ユーリズミックスのベーシストで、トニ・ハリディもすでに何度目かのデビューだった。
わたしは92年に、名古屋のクラブクアトロで彼らのライヴを観た。
トニさんは、MVで見ると怖そうだけど、ライヴでは意外とにこやかに歌っていて、そして思ったよりもデカかった。
MVがもう、カッコいいのなんの。
(Goro)