Chuck Berry
Sweet Little Sixteen (1958)
1958年1月にリリースされたシングルで、全米2位の大ヒットとなった。当時のチャック・ベリーのシングルでは最高位となった。
わたしはチャック・ベリーではこの曲がいちばん好きだ。
こんな素敵な曲が一日中ラジオから流れていた時代ってなんて幸福な時代だったんだろう、初めて聴いた人々はどれだけ興奮したんだろう、なんて聴くたびに思ってしまう。そんな体験ができた当時の人々が羨ましくて仕方がない。
ボストンでもフィラデルフィアでもテキサスでも
サンフランシスコの海岸でもセントルイスやニューオリンズでも
可愛くてステキな16歳の女の子とみんな踊りたがってるんだ
(written by Chuck Berry)
わたしは歌詞に地名が出てくる歌がめっちゃ好き❤️という変な性癖があるのだけれども、チャック・ベリーの歌にはそれが実に多くて嬉しい。
まあアメリカの地名だから様になるのだけど、日本語でこういう歌を作ったら、
仙台でも浜松でも郡山でも
熱海の海岸でも倉敷や博多でも
なんてちょっと演歌っぽくなってしまうのかもしれない。わたしはめっちゃ好きだが。
1963年に全米3位の大ヒットとなったザ・ビーチ・ボーイズのブレイク作「サーフィンU.S.A.」はこの曲をモロにパクったというか、ほとんど歌詞を変えただけのものだった。
ビーチ・ボーイズの天才ソングライター、ブライアン・ウィルソンは、「スウィート・リトル・シックスティーン」聴きながら、「このメロディに乗せて、サーフ・スポットの地名を入れてみたらどうだろう」というアイデアを思いつき、実際にやってみたということだ。きっとあまり著作権のこととか、考えなかったのではないかと思う。なにしろ天才だし。
当然ながら、チャック・ベリーの著作権を管理するアーク・ミュージックから猛抗議され、ブライアンのマネージャーで実の父親でもあるマリー・ウィルソンは、天才息子の不始末を詫び、「サーフィンU.S.A.」の歌詞を含むすべての著作権をアーク・ミュージックに譲渡した。
という経緯があったのだけれども、その後、ビーチ・ボーイズのメンバーとチャック・ベリーがコペンハーゲンで偶然出会った際、ベリー先生は「サーフィンU.S.A.が大好きだ」と彼らにのたまったという逸話がある。
↓ チャック・ベリーの「スウィート・シックスティーン」。
↓ ビーチ・ボーイズの「サーフィンU.S.A.」。
(Goro)