ビートルズが憧れたロカビリーの父 〜カール・パーキンス『ダンス・アルバム・オブ・カール・パーキンス』(1957)【最強ロック名盤500】#52

Dance Album of

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【最強ロック名盤500】#52
Carl Perkins
“Dance Album of Carl Perkins” (1957)
米テネシー州出身のカール・パーキンスは、綿花畑の小作人として一家で働く貧しい家庭に育った。彼自身も6歳から綿花畑で働いたという。

仕事を終えると、彼は父と一緒にラジオでカントリー・ミュージックの番組を聴くのを楽しんだ。カールがギターを欲しがったため、父親は彼らよりさらに困窮していた近所の住人からボロボロのギターを2ドルで買い取って彼に与えた。彼は切れた弦を結んで使い、ラジオで聴いたカントリー・ソングを独学でコピーした。

また、綿花畑で働いていた小作人はそのほとんどが黒人だったため、彼らが歌うブルースを自然に覚え、それを彼は身についたカントリーのビートで弾き、歌った。ロカビリーの誕生である。

成長したカール・パーキンスは工場などの職を転々としながら、バンドを組んで酒場などで活動した。ある日地元のラジオで、サン・レコードからデビューしたばかりのエルヴィス・プレスリーの「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」を聴き、このレーベルなら自分の音楽を理解してくれるはずと、サン・レコードを訪ね、オーディションを受けた。彼はオリジナル曲を数曲披露してオーディションに合格し、1955年3月に本作にも収録されている「Movie Magg」でデビューする。そして1956年1月にリリースしたシングル「ブルー・スウェード・シューズ」が全米チャート2位となる大ヒットとなった。

本作は1957年にサン・レコードからリリースされた、カール・パーキンスの1stアルバムである。カッコ内はチャート最高順位だ。

【収録曲】

SIDE A

1. Blue Suede Shoes
2. Movie Magg
3. Sure To Fall
4. Gone Gone Gone
5. Honey Don’t
6. Only You
7. All Mama’s Children

SIDE B

1. Tennessee
2. Wrong Yo Yo
3. Everybody’s Trying To Be My Baby
4. Matchbox
5. Your True Love
6. Boppin’ The Blues

ベスト盤と言っても差し支えないほど、彼の初期の代表曲、有名曲が並んでいる。

A1は彼の代名詞と言える、全米2位を獲得した大ヒット曲(ちなみにこのとき1位に君臨していたのがエルヴィスの「ハートブレイク・ホテル」だった)、B6は米カントリー・チャート7位、B5も同チャート13位まで上がるヒットとなった。また、シングルヒットはしていないが、B4も代表曲としてよく知られている。

さらにA5、B3、B4はビートルズによるカバーで誰もが知るところとなっている。
ビートルズはカール・パーキンスに大きな影響を受け、ポール・マッカートニーは「カール・パーキンスがいなければビートルズはなかった」とまで言っているし、ジョージ・ハリスンのグレッチもパーキンスへのリスペクトがその音に表れている。

60年代以降はヒット曲こそ出なかったが、サン・レコード屈指のシンガー・ソングライター、そして素晴らしいギタリストとして、そしてロカビリーの父として、ロックンロールの草創期に貢献したカール・パーキンスの偉大な功績は忘れられてはならないだろう。


↓ 永遠のロックンロール・スタンダード「ブルー・スウェード・シューズ」。

Blue Suede Shoes

↓ ビートルズのカバーでも有名な「ハニー・ドント」。

Honey Don’t
(Goro)