Bob Dylan “Shot of Love”
なにを隠そう、わたしが最初に聴いたディランのアルバムがこれだった。わたしは16歳で、ほぼリアル・タイムで聴いた。貸しレコード店で借りて。
いわゆるディランの評判の芳しくない《キリスト教三部作》の最後の作品とされていて、売れ行きはさらに前作を下回り、全米33位、全英6位とさらに下降するが、前作ほど宗教色は濃くない。どちらかというと「宗教をテーマにすることをやめた」アルバムと言える。
そもそも16歳のわたしは、宗教的な内容であることなどまったく気づかずに聴いていたのだけれども。
レンタルしてきたレコードをカセットテープにダビングして、何度も何度も何度も何度も聴いた。だいたい他に聴くものもたいして持ってなかったのだ。インデックスも、レタリングシールで丁寧に作った。
そんなふうに日に3回ぐらい、メシでも食うように繰り返し聴いているうちに好きになったものだ。まあそれぐらい聴けば、なんでも好きになるものだけど。
今回、何十年ぶりかに聴いたけど、ほとんど全部歌えるぐらい憶えていた。歌えると言ってももちろん英語は無理なので、鼻歌だけれども。
鼻歌でフフン、フフフンぐらいであっても、それで全曲いけるディランのアルバムなんて他にない。わたしにとっては全曲好きなアルバムなのだ。
あれが本来の、正しいレコードの聴き方だったよなあ、と今は思うけれども。
1曲だけ、LPレコードのときは入ってなかったのに、CD化の際に追加された曲があって、「ザ・グルームズ・スティル・ウェイティング・アット・ジ・オルター(The Groom’s Still Waiting at the Altar)」というのがそうなのだが、これはわたしは知らなかったけれども、しかしこの曲も力強いブルース・ロックでなかなかカッコいい。
それにしてもこのジャケット。
なんとあの、アンディ・ウォーホルと並ぶポップ・アートの巨匠、ロイ・リキテンシュタインに依頼したのだそうな。
リキテンシュタイン、絶不調だったのだろうか。
↓ 「ショット・オブ・ラヴ(Shot of Love)」
↓ 「ザ・グルームズ・スティル・ウェイティング・アット・ジ・オルター(The Groom’s Still Waiting at the Altar)」